『青森競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:9月3日
 いよいよ今日から青森競輪開設65周年みちのく記念競輪「善知鳥杯争奪戦」が開幕した。メーンの特選は中川誠一郎、内藤宣彦に黒田淳が快勝。地元勢もオープニングレースを制した箱田優樹をはじめ、3名全員が二次予選へと勝ち上がった。2日目は優秀の「八甲田賞」をメーンに二次予選6個レースで準決勝進出が争われる。
 明日4日は濱田瞳選手、根本哲吏選手のトークショー(12:40~)。現金1万円をはじめ合計45名様にプレゼントが当たる未確定車券抽選会など様々なイベントが予定されています。明日もぜひ青森競輪場で迫力あるレースをお楽しみください。
<1R>
 打鐘過ぎに戸伏康夫が先行態勢に入るも、最終1コーナーで棚橋勉が戸伏と接触して落車。さらに渡邊秀明と田中孝彦も乗り上げるアクシデントが発生する。一瞬ペースが緩んだタイミングを逃さずに、箱田優樹がカマシ返して地元記念のオープニングレースで1着をゲットした。「とりあえずホッとしました。巻き返すタイミングがきて良かったです」と責任を果たして安堵の表情を浮かべる。
 2着は箱田マークの荒澤貴史。差し切りは叶わなかったがワンツー決着に満足そうだ。
 「僕はまだ下げている段階で(箱田が)仕掛けたし、バンクのカントがある位置でもあったのでキツかった。落車がなく、戸伏君が全力で突っ張っている流れだったら厳しかったかもしれない」

<2R>
高原仁志選手
高原仁志選手
 馬場和広が動いた上を叩いた戸田康平のかかりがよく、中団で車間を切った馬場もなかなか詰まらない。別線のまくりは不発に終わり、番手の高原仁志(写真)が好展開を生かした。
 「戸田が強い。伸びていってましたね。けん制も入ったし、僕が1番車だから中団から。後ろ攻めから先行だと僕も仕事できないんで、勘弁してと。こんな絶好の展開はモノにせんとと思ったんでよかったです」
 逃げた戸田康平は末よく2着に粘った。
 「風もあったし、けっこうキツかったけど、いい感じで踏めた。いつもは慌てて踏んじゃうんですけどね。記念で勝ち上がれたのはS級一発目の福井以来。久しぶりだから嬉しいですね」

<3R>
 中井太祐の上昇に合わせて赤板から主導権を握った矢野昌彦が見事な逃げ切り勝ち。タイムもラスト1周が23秒1、上がり11秒6と上々。追走した河野通孝のアシストも効果的ではあったが、矢野のワンマンショーだったと言っていいだろう。
 「嬉しいですね。いい競走ができた最大の要因は宇都宮で優勝したフレームが修理から戻ってきて使えたこと。自分の持ち味を出せたし、組み立てもイメージどおり。前へ出てから後続の隊列を確認して、中井君の巻き返しにも合わせることができました」
 2着は矢野をマークした河野通孝。矢野の強さが予想以上だったようで、目を丸くしながらコメントする。
 「強かったですね~。レース前から自信がありそうで、赤板から中井君が凄い勢いで仕掛けてこない限りは、突っ張って駆けると言っていた。最後は抜きにいったけど差せなかったです。ワンツーはよかったけど、2周も先行して抜けないとなると、抜ける展開はないんじゃないかと思ってしまうね(苦笑)」

<4R>
 逃げる窓場千加頼を打鐘の4コーナーから村上直久が巻き返す。村上が澤田義和のけん制も物ともせずにバックで出切ると、続いた伊勢崎彰大が抜け出した。
 「ホームで緩むとこがあるだろうから、そこを目一杯行こう。作戦どおりでしたね。村上がいい感じでやってくれて、こっちは楽でした。ホームでは勝機があったなって感じでした。今日は村上のおかげ。ワンツースリーでよかった」
 2着に敗れたとはいえ村上直久も力強いまくりで復調をアピールした。
 「緩んだんで行かなきゃと思った。(窓場と)タイミングが合ったのでヤバイかなと思ったけどね。危なかったです」

<5R>
 最終ホームで保科千春が叩いて出るも、番手の大西健士は踏み出しで離れて山本直が保科後位にはまった。山本直の番手まくりで勝負ありかと思われたが、宿口陽一が7番手から大外を強襲した。
 「まさか7番手になるとは…、組み立て失敗。山本君が番手にはまっていたので、かなり焦りました。早めに巻き返したので、届いただけ。今日はたまたまだし、もう少し巧くレースを作っていければ」
 2着の山本直は悔しさを隠せない。
 「ホームで保科さんがくると思った。合わせて踏んだら大西さんは離れると思ったので、思いどおりの展開になったし、自分のレースはできたと思う。ただ、2着ではダメ」

<6R>
井手健選手
井手健選手
 山口智弘が佐藤一伸を出させず主導権を握る。番手の有賀高士は佐藤との併走をしのいで、抜け出しを図るが、中部ライン3番手から井手健(写真)が鋭く伸びた。
 「久々の初日1着でよかったです。僕は3番手で楽でしたね。有賀さんがしっかり仕事をしてくれて、その分僕が伸びました。あれを合わせるんだから山口君も強かったですね」
 番手の有賀高士は山口の走りを褒めちぎった。
 「(山口が)豊橋記念でも強いのを目の当たりにしてたし、今日は展開が全てでした。打鐘の4コーナーで(佐藤に)気づいて仕事できてればよかったけど、あまりにいい展開で油断してた。山口君が強かったし、彼が全てやってくれた。また恩返ししたいですね」
 山口と佐藤でやり合う形になり、絶好のまくり頃かと思われた栗田貴徳だったが、有賀の外で一杯に。
 「自分で流れを作ったし、勝ちパターンだったけど…。落車の影響ですね」

<7R>
 宮越孝冶が才迫開を出させず主導権を握る。不発の才迫から切り替え、6番手で立て直した三宅伸が最終バックからまくって底力を発揮した。
 「最近は外に踏んでいるので、切り替えてからまくりは狙っていた。ホントはもう少し早めに行ければ良かったけどね。練習の成果は出ている」
 レース前から才迫開を警戒していた宮越孝治は「作戦どおり、強い気持ちで駆けられた」と見事に本線を撃破した。
 「いつもより長くモガいていたけど、4着に粘れているので状態は悪くない。ただ、まくられてしまったので、もうワンランク上のスピードを出せるように頑張る」
 2着の阪本正和は「いざとなればやっぱり三宅さんは強いですね。早めに仕掛けてくれたので、僕も続けました。明日は僕の誕生日なので、良い日になればいいです(笑)」。

<8R>
志村太賀選手
志村太賀選手
 杉森輝大が出切れないと見るや、最終2コーナーから鈴木謙太郎は自力に転じる。逃げる南関ラインを飲み込むと、鈴木マークの志村太賀(写真)が抜け出した。
 「前の2人に助けられました。謙太郎も(まくりに行ったのは)ギリギリの判断だったと思います。僕は4コーナーを回ってから踏んだけど、抜けたので十分です。脚は戻ってるけど、踏み方を変えてセッティングや体の感覚とかがマッチしてない。そこがマッチすれば成績も上がると思う」
 まくった鈴木謙太郎は惜しくも2着に。
 「打鐘で行かないんだと思った。そのあとも杉森さんは渡邊(健)さんや篠田(宗克)さんにもらってたから、自分なら一杯になると思って行った。踏んだら杉森さんも踏んでたんでやっちゃったと思ったけど、杉森さんも勝ち上がれたんで。今日は苦しかったですね」

<9R>
安東宏高選手
安東宏高選手
 打鐘先行の八谷誠賢のかかりがよく最終バックを先頭で通過。鈴木裕の巻き返しを安東宏高(写真)が好ブロックすると、ゴール前で八谷をとらえ九州ワンツーを決めた。
 「八谷さんが強かったの一言。連係すると必ず仕掛けるべきタイミングで動いてくれる。僕の調子? 今日の結果とあまり関係ないと思うけど悪くないです。セッティングは少し微調整します」
 1周半駆けてレースを支配した八谷誠賢は笑顔が弾ける。
 「前回よりいいとコメントしたので力を出せてよかった。打鐘のタイミングは結果に関係なく仕掛けないといけない。安東君には今まで何度も迷惑をかけたので、1着に貢献できて良かった。新車に乗り換えた効果も大きいと思います」。

<10R>
中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 打鐘から三谷竜生が主導権を握ると、番手の村上義弘は大きく車間を切って別線の反撃に備える。しかし、中川誠一郎(写真)のスピードが違いすぎた。ホームから仕掛けると、一気に村上の横まで並びかけ、合わせて番手から踏み込む村上を飲み込んだ。
 「前回、すごい叩いたんで、不安があったけどよかった。村上さんに並ぶまでは行けると思ったし、しっかり力を出し切れたので。優秀にも上がれるし、この1着は大きいですね」
 村上義弘は抵抗及ばず。それでも2着で2日目の優秀戦へ勝ち上がった。
 「力でねじ伏せられただけ。想定していた流れ、そのなかで一生懸命自分の力を出し切る競走をしたんですが…」
 単騎の牛山貴広は勝負どころで中近ラインを追走。松岡貴久をさばいて外に持ち出すと、3着に突っ込んだ。
 「まずは南関からと思ったけど、近畿が先手を取る感じだったのでついていった。三谷も1周半の先行じゃまくられる。来たときにどうしようと思ってました。松岡が付いてきてたら自分の3着はないけど、離れてきたので3着に入れた。外を踏んで出てないけど、今日で刺激が入ったと思います」

<11R>
内藤宣彦選手
内藤宣彦選手
 早坂秀悟が藤木裕を叩いて主導権。郡司浩平の仕掛けに合わせて平原康多が激しく巻き返してきたが、内藤宣彦(写真)が巧援護して白星をつかむ。「成田君の前を回っている以上は番手の仕事をしないと!」と強い気持ちで臨んだ一戦。平原康多のまくりを止めての白星に「記念の初日特選に勝ててホッとした」と安堵の表情を浮かべた。
 ゴール前で鋭い伸び脚をみせた芦澤大輔は「今日は平原君が全部やってくれたおかげ。脚を使ってないぶん最後は伸びた」と番手の利もあった。ただ、「脚は問題ないし大丈夫」と依然好調を維持しているようだ。
 平原康多に仕掛けを合わせられ大敗を喫した郡司浩平は「力の差を痛感しましたね。僕もあれだけ器用になりたい。今日は何もできなかったので、2日目は力を出し切れるように頑張りたい」と二次予選へ気持ちを切り替えた。

<12R>
黒田淳選手
黒田淳選手
 吉澤純平に合わせて上昇した新田祐大がうまく中団を確保する。8番手になった黒田淳(写真)は打鐘過ぎ4コーナーから内をすくうと、新田の番手を奪う。そのまま新田のまくりに続くと、ゴール前で逆転した。
 「カマすか内かと思ってました。新田のところまで行きたかったんで、よかったです、行けて。そのまま併走になるか新田が行ってくれるか分からなかったけどね。4コーナーでフラッとなって危なかったけど、届いてよかったです」
 まくった新田祐大は2着に。
 「行こうと思ったときに(吉澤に)踏まれてしまった。踏み出したときに思ったよりも出なかったです」
 黒田マークの小倉竜二が3着で優秀戦最後の切符を手に入れた。
 「あそこにおっても新田が仕掛けやすくなるだけ。しゃくりも考えてたし、あれは作戦のうちのひとつ。黒田は俊敏なんで前々に行ってくれればね」
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