『施設整備等協賛競輪in小田原(GIII)レポート』 初日編

配信日:10月12日

 小田原競輪場で第8回施設整備等協賛競輪「小田原城下町音頭杯(GIII)」が、10月12日に始まった。初日のメイン、特選では、北井佑季の先行を利した松坂洋平が、番手からチャンスをモノにした。また、一次予選では3連単で10万円を超える配当が2回も飛び出し、波乱の多い幕開けとなった。10月13日のシリーズ2日目には、二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われる。
 シリーズは開催中の毎日、来場者サービスとして、先着でオリジナルキャンディーをプレゼント。未確定車券でのガラポン抽選会などが予定されています。小田原競輪場では、みなさまのご来場お待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

 坂本紘規の上昇に合わせて動いた川口雄太を、前受けの一戸康宏が突っ張る。6番手に戻り立て直した坂本が、再度仕掛けて赤板1センター過ぎに主導権を握る。北日本勢が出て、3番手は川口と単騎の柏木伸介で併走になる。7番手になった一戸は、打鐘2センターから反撃に出る。逃げる坂本をスピードの違いで一戸がのみ込んで、関貴之が続く。3番手以降は離れて、関東両者の勝負は番手の関が差し切った。
 「(一戸の)突っ張りも頭に入れて、付いていました。タイミング良く行ってくれましたね。(一戸は)毎回、頑張ってくれるし信頼してる。最近は流れがいいですね。練習を自分なりに考えてやっているのも、いい要因かもしれない」
 坂本のペースかに思えたが、ロングまくりで一戸康宏があっさりと仕留めて関東ワンツーでの決着。
 「(スタートは)取れるかわからなかったけど、出てみてって感じでした。そしたら関さんに取っていただけたのでかなり助かりました。(3番手の)併走を目がけて行きました。坂本君が流してるように感じたし、全開で行ってはいるんですけど、思いのほか楽に出られました」


<2R>

板垣昴選手
板垣昴選手
 吉武信太朗の上昇を阻んで、中嶋宣成が突っ張りそのまま主導権。周回中から4番手にいた板垣昴(写真)は、割り込まれることなく好位を確保して一本棒の隊列。打鐘から中嶋がペースを上げて逃げるが、板垣は最終ホームから踏み上げる。杉本正隆のブロックを乗り越えた板垣がまくり切るが、佐藤慎太郎は杉本にからまれる。福島コンビを目標にまくった森山智徳を、板垣が2車身ちぎって1着。
 「腰の状態も問題ないというかいいですし、(初日は)展開ですね。(展開的には)自分が駆けて、中嶋さんと力勝負かなと思ってたんですけど。(中嶋が突っ張って、自分は4番手で)最低、(最終)ホームではと。ジャンで行けましたね。そうすれば(佐藤と)ワンツーが決まったかなって。そこら辺は(反省です)。(前回のあとは)ウエートトレーニングもやったし、強度を上げて、師匠(飯野祐太)とやってきた」
 6番手で脚をためた森山智徳は、隊列が短くなったところを最終2コーナー手前からまくる。板垣を詰め切れなかったものの、後輩の松尾勇吾を連れて2、3着に入った。
 「(中嶋が突っ張って)逆にその方がいいかなと。脚も使わずに、前(板垣)もまくってくれた。(前で杉本と佐藤がもつれて)自分は落車明けだったんでコケないようにと。ただ、体力がない。距離が全然、モガけない。(今回は)先行だと厳しいかもしれないですね」


<3R>

脇本勇希選手
脇本勇希選手
 青板3コーナーで押さえて出た脇本勇希(写真)が、関東コンビを受けて3番手に入る。8番手の伊東翔貴が打鐘手前から仕掛けるが、杉山悠也は付け切れない。逃げる堀江省吾が、伊東を合わせて最終周回へ。堀江と伊東の踏み合いを、1センターで外に持ち出した脇本がバックでまくり切る。脇本は続いた八日市屋浩之を4分の1輪、振り切った。
 「(周回中は)後ろに堀江さんがいたので、先に動かないと後方になると思って動きました。3番手が取れて行けるところで行くつもりだったけど、先に仕掛けられて焦った。追いかける感じで行けたので良かったです。(堀江と)やり合ってもと思って、落ち着いて3番手が取れたのが良かった。福井で合宿をして、兄貴(脇本雄太)は療養中なんですけど、バイク誘導を付き合ってくれた。前回からギアを47枚から55枚に換えてから調子もいいですね」
 脇本のまくりに危なげなく続いた八日市屋浩之が、流れ込んでラインでのワンツー。
 「家で練習をゆっくりやるタイプなので、早い時間のレースは苦手ですね。でも、ここに向けて早い時間からやってきた成果が出たかな。(脇本とは)福井で一緒に練習したこともあるし、強いのはわかってた。練習量を増やしてウエートトレーニングとバイク誘導をやるようになった。スピードに対応できるようになりましたね」


<4R>

 埼京ラインが前団に構える。山本勝利は、中団から先に踏み込んだ外田心斗を出させない。赤板2コーナーから今度は竹内雄作が踏み込むが、先行態勢を取った山本もペースアップ。河村雅章のけん制もあり、竹内は最終1コーナーで後退する。中団の外にへばりついた不破将登は、バックから自力に転じる。山本の逃げを利した河村は、まくる不破を張りながら追い込んだ。
 「竹内君が来たところをけん制したらいなくなってくれた。あとは(山本を)どれだけ残せるかでした。不破君とかが来たんで、悩んだけど踏ませてもらいました。(山本が)踏んだところで後輪がハネて焦ったけど、ちゃんと付けた。自分の体調は維持していると思います」
 連係した外田の余力を見極めて、大屋健司が後方からまくりを打って2着に届いた。
 「思惑通りの展開だったけど、(外田の仕掛けに遅れて)僕の脚が追いつかなかった。僕の責任で(ラインの)2人に悪いことをした。とてもじゃないけど、合格点をあげられるレースじゃない。外田君を迎え入れてから、(外田が)苦しそうに見えたんで、自分で行かせてもらいました。(前回が)悔しかったんで、結構、練習して、来る直前だけ軽くやってきました」


<5R>

 磯島康祐、小畑勝広の順番で切って、茨栃勢を追った久田裕也が赤板で仕掛ける。久田が主導権を握るも、蒔田英彦も2コーナーから巻き返す。蒔田は中団までで、久田の先行で最終周回。小畑、蒔田で4番手がもつれて、番手の堤洋が絶好の展開をモノにした。
 「4分戦だし、自分たちの番が来たら行くって感じでしたね。余裕は多少はありました。でも、久田が結構、いいペースだったし、まくりが来たら仕事しないとなと思ってた。その分の脚は残ってました。でも、パッと見たら横に(小畑が)いたんで、抜かれると思って踏んだ。(久田が3着に)残ってくれて良かった。田中(陽平)君が3番手を固めてくれたのも大きいね」
 4番手で蒔田と重なった小畑勝広は、外の蒔田をさばいて最終3コーナーから踏み上げる。まくり追い込みでしぶとく伸びた小畑が2着。
 「(スタートは)前の方が取りたかったけど、久田君もあの位置から先行って組み立てだったと。後方になったんで厳しいかなと思った。でも、先切りとかがあって、展開が回っていい位置が取れましたね。(赤板過ぎに久田を)突っ張ってもおもしろいかなと思ったけど、勇気がなかった」


<6R>

染谷幸喜選手
染谷幸喜選手
 染谷幸喜(写真)にフタをした伊藤信が赤板手前から踏み込むが、津村洸次郎が出させない。津村は、そのまま染谷も突っ張って駆ける。打鐘を通過して染谷は空いた4番手に降りて位置を確保する。染谷の後ろは桐山敬太郎をさばいた伊藤が奪取するが、最終2コーナーからまくった染谷を追い切れない。染谷が福岡勢をとらえて、まくりで勝ち切った。
 「(周回中は)前か中団からで、そこから(レースを)動かして自分が主導権を取るイメージだった。(伊藤に)フタをされたし、(津村に)踏まれちゃった。(仕掛けて)合わされそうな感じもあったし、(中団に)スペースがあったんで入りました。脚の感じもたまってたんで、イケると思ったけど。結構、もってこられた。3カ月前くらいからフレームを換えて、そのフレームが合ってますね」
 福岡ライン3番手の稲吉悠大は、最終3コーナー過ぎから伊藤を張りながらまくった染谷を追いかけるように追い込んだ。
 「(伊藤)信さんが切らなかったんで、(津村は)いい判断で突っ張ってくれた。(染谷が)まくって後ろが離れたっていうのもあるけど、2着まできているんでいいんじゃないですか。前回よりもいいと思います。もう少し高い点数で安定できればなと」


<7R>

新田康仁選手
新田康仁選手
 前団は三重コンビ。下井竜は、そのまま主導権を握り赤板を迎える。3番手の外で今井聡が、川越勇星と併走。打鐘を通過して3番手は、川越が取り切る。川越は構えることなく、最終ホーム手前から発進。しかしながら、番手の谷口明正にけん制されて、川越は再びバックから踏み上げる。谷口のブロックを受けた川越はしぶとく伸びるが、外を踏んだ新田康仁(写真)が伸び切った。
 「川越君にすべて任せてました。(下井は)引いてカマしと思ってたけど、全ツッパしてくれた。川越君は今井君ともつれてサラ脚じゃなかった。仕掛けどころも悪くなっちゃったし、1回迎え入れたりしてバックを踏んだからキツかった。前が脚を削りあってくれたから1着だった」
 今井とのポジション争いを制すも、今度は三重勢の抵抗にあった川越勇星は、苦しいながれをしのいで2着。
 「今井さんのところはしのげたけど、前がじわじわ駆ける感じだった。僕の苦手な駆け方だった。仕掛けたけど出なくて…。1回、(新田に)迎え入れてもらってから、練習でやってきた踏み方を意識して仕掛けたらなんとか2着に入れた。空いた期間にフォームとか、ペダリングのいいイメージをつかめたんで、それを競走で思い出して走れました」


<8R>

志智俊夫選手
志智俊夫選手
 青板バックを過ぎると目まぐるしく隊列が動いて、赤板手前で踏み込んだ猪俣康一が先頭に立つ。南関勢を追いかけた石塚輪太郎が、その上をスムーズにカマして2コーナーから先行策。志智俊夫(写真)がピタリと続くも、3番手の山田裕哉は前の加速に離れながらの追走。さらに車間が空いた4番手に猪俣。最終ホームで6番手から嵯峨昇喜郎が仕掛けるも前は遠い。直線は逃げる石塚と番手の志智の争い。志智がゴール前で差し切って、デビュー通算599勝を挙げた。
 「(石塚の)あれが一番でした。(南関勢の)あの仕掛けに乗れた。(あのタイミングを)逃してないのが良かった。(石塚は)掛ってたんで、車間を空ける必要がまったくなかった。空けたら自分の脚にくるんで。どんどん掛っていって、(別線が来る)気配も感じなかった。ラスト1周ではこれは抜けるかなっていう感じだったんで、最悪2着かなっていうのはありました。(通算600勝にあと1勝になり)あんまり気負わないでと思います」
 オーバーペース気味に駆けた石塚輪太郎だが、番手の志智とゴール勝負を演じて力のあるところを見せた。
 「結果的に先行できて良かったです。(猪俣が)中団先切りみたいに行ってくれたんで、そこを逃さずに行きました。一瞬、バックを踏んで、もう1回行った。後ろが付きづらい感じで、申し訳なかったです。着は良かったけど、乗り方がすごく悪かった。そこはレース中にも感じてたんで、修正したいです。たぶん疲れだと思います」


<9R>

 赤板目がけて後方から踏み込んだ大石剣士が、前団に襲い掛かる。逃げる後藤悠が抵抗するが、大石がねじ伏せて打鐘2センターで主導権を奪う。後藤は番手に飛び付いて大塚玲を弾くも、大塚がこらえる。藤田周磨の反撃はあおりもあって不発。その上を最終1センター付近から仕掛けた吉田茂生のスピードがいい。直線に入って大石をとらえた吉田が1着。
 「大石君が出切るなら早めにそこにスイッチしてと思ったけど、モガき合う感じになった。それで(脚を)ためていきました。もうワンテンポ早く行ければいいんですけど、藤田君も仕掛けそうだったし、そこを待ってからでもいいなと。でも、(最終)ホームのあおりで藤田君が行けなくなったんで、自分から行きました」
 外を伸びた原真司は、吉田を僅差まで詰めて2着。
 「僕は道中も余裕があったし、(吉田の)車輪だけ見て付いてました。吉田君も余裕そうでしたね。抜けるかなと思ったけど、足りなかったね。夏が終わってヒザが痛くなったんだけど、ようやく練習ができるようになってきた」


<10R>

大坪功一選手
大坪功一選手
 石原颯は前受けから思惑通り、後方に下げてのカマシ展開に持ち込む。赤板1センター過ぎから7番手の石原が仕掛けるも、先行態勢の鈴木薫も踏み上げる。打鐘3コーナーで石原は、落ち着いて4番手に入り、最終2コーナー手前から再発進。まくり切った石原マークの大坪功一(写真)が、余裕をもって追走してゴール前で差し切った。
 「(中団で一度休んでから仕掛けた石原は)あのまま行っちゃた方が、良かったのかなっていうのはあります。(中団で併走になって)そこは難しかったけど、自分は余裕がありました。(小田原は)コーナーが伸びるんで、そこは楽ですね。僕は軽く踏んだだけです。(石原を)2着に残したかったですね」
 最終ホームで江守昇にからまれた松尾信太郎は、決して楽な流れではなかった。が、直線では外を伸びて2着に入った。
 「ああいう展開になるのはわかっていた。あとは9番手からどこまで付いていけるかなと。(石原が)引くのに手間取っていましたね。自分は(最終)ホームで江守(昇)さんとからんだし、(3番手で)波が遅れてくるのでキツかった。でも、付いていけたんで悪くないと思います」


<11R>

 人気の関東両者での決着は、番手の河野通孝が1着。目標にした森田優弥の巻き返しも早く、近藤翔馬のペースを許さず打鐘2センターで先頭に立つ。そのまま別線をクギづけにして、ラインで上位独占を果たした。
 「キツかったですね。(森田は)前が踏んでるところで無理くり行ったし、中団外併走するくらいのペースだった。自分は体調面で余裕がなかった。けど、1走して筋肉に刺激が入ったんで呼吸も上がった。体の方は大丈夫でしたね。車間を空ける余裕もあった。呼吸がキツかったけど、この状態で1着が取れたので安心しました」
 3番手は他地区ながらも、ここがホームバンクの小島歩。森田優弥はさすがの立ち回りで別線を完封して、小島まで3着に連れ込んだ。
 「切って切ってのところをすぐに叩いて先行しようと思ってました。ハイペースになったんでキツかったけど、河野さんが援護してくれたのでなんとか2着に残れた。9車立ての時にこういうレースをやらないとと思っていたし、(ライン)で決まって良かったです。直線が長いなと感じたけど、明日(2日目)以降も仕掛けは変えないようにしたいです」


<12R>

松坂洋平選手
松坂洋平選手
 ラインの大森慶一がスタートを制して、北井佑季が前受けからレースを始める。青板バック過ぎに長島大介を突っ張り、北井が出し惜しみすることなく風を切る。一本棒でレースは流れて、最終ホーム過ぎに4番手の宿口陽一が仕掛けるも、松坂洋平(写真)が外に張って不発。8番手まくりの柴崎淳も迫るが、番手で間合いを取った松坂が追い込んだ。
 「北井君を2着に残せなかったのがあるけど、(ラインで)ワンツースリーで良かった。(踏んだ感じは)悪くない。人の後ろで展開もすごく良かった。だから(調子は)なんとも言えないところもあるけど、それをモノにできたので」
 直線は地元コンビの間を踏んだ大森慶一が伸びる。北井ラインの3人が重なったところがゴールも、大森は2着。
 「スタートを取ったんですけど、あとは北井君が全部、突っ張って、なにからなにまで北井君にやってもらった。そのなかで自分は余裕をもって走れたし、北井君の強さも感じられました。(脚の感じは)問題ないかと思います」
 別線に一度も先頭を明け渡すことなく、突っ張った北井佑季はハイペースで駆ける。後ろの2人には交わされたが、初日特選の内容としてはケチのつけようがない。
 「同県の(松坂)洋平さんと大森さんに付いてもらって、ラインで決まったのは良かった。けど、(2人に)いかれているんで、オーバーペースだったのかなと。脚は問題ないと思います。ただ、初日特選でほかのラインも積極的に来るかと思ったので、早めに駆けた。それを考えると悪くはないと思います」