『伊東競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:12月3日

 ナイターシリーズで開催される伊東競輪場開設73周年記念「椿賞争奪戦(GIII)」が、12月2日に始まった。初日メインの特選レースは、山田久徳のまくりが鮮やかに決まって近畿勢で上位独占。また、短走路らしく一次予選でもまくりやまくり追い込みでの勝利が続出する一日だった。3日は二次予選7個レースで準決への勝ち上がりを競う。
 記念開催中は毎日、先着400人様にオリジナルグッズをプレゼント。地元のガールズケイリン選手などによるガールズトークショー、未確定車券ガラポン抽選会、キッチンカーの出店などが予定されています。また、3日には、オートレーサー森且行選手のトークショー、「タカシェンカ」大道芸ショー、ミカリンフワフワなども予定されています。伊東競輪場では、みなさまのご来場お待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

川口聖二選手
川口聖二選手
 先頭の大川剛は、青板1センターから誘導と大きく車間を空けて態勢を整える。大川は、勢いよく押さえに来た梁島邦友を突っ張って、レースは青板バックからハイペースに。中団の川口聖二(写真)は、2センターで内をすくって棚橋勉に絡むが、赤板では車を下げて4番手に収まる。1周半に及ぶ先行争いを制したのは大川で、梁島は最終ホームで後退。大川がけん命に踏み直すが、4番手から3コーナーで車を持ち出した川口が、外を強襲して1着をつかんだ。
 「なんとか1着でよかった。大川君は主導権を取りにくるだろうし、梁島君もだから、中団、中団と思っていました。すごい踏み合いでしたね。いつ、決着かなって思ったら、(残り)1周を過ぎたあたりで。いつ行こうかなって思ったけど、結果を意識しすぎた。平が終わってから股関節の治療に行ったのが良かったですね。踏んだ分、出てくれた」
 川口マークの長尾拳太が2着。
 「来る前に膝が痛かったんです。2周半のダッシュのところが不安でした。口が空いてしまったけど(別線に)降りてこられなくてよかったですね。そこからは余裕があったし、1本走ってみて、そこまで影響はなさそう。踏み出しを気を付けないといけないけど、あとは踏めたかなって思います」


<2R>

 鈴木浩太が青板バックで窪木一茂を突っ張る。3番手の伊藤旭は、踏み出しで若干口が空いたものの、北勢をすくって3番手をキープする。小原唯志は、窪木が4番手外で併走している上を、打鐘目掛けてカマして鈴木を叩く。最終ホームで小原が出切ったところで、今度は伊藤がすかさず仕掛ける。2コーナーで小原をねじ伏せた伊藤が、そのまま後続を引き離してゴールした。
 「自分だけライン3車を頂いてたんで、すかさず(仕掛けて)行こうっていう気持ちがあの展開になったんだと思います。組み立てはあれでよかったけど、緩急をつけすぎちゃって後ろに迷惑をかけたんで、そこは修正しないと。指定練習と、アップの時からかなり脚が重くて、競輪祭の疲労はあるんですけど、思った以上も自転車が進んでくれてよかった。一走目が大事だと思ってるし、初日の走りが2日目以降を左右すると自分に言い聞かせて走った」
 伊藤の加速に、マークした松尾透は離れてしまう。逃げ粘った小原唯志が2着。
 「脚を使ってないのは自分だけだったんで、出切れるだろうなとは思ってました。(伊藤の)巻き返し、強いっすね。あんなに早く来るとは。(叩いて)一息ついたら来てました。まあでも、やれることはやっての勝ち上がりなんで」


<3R>

道場晃規選手
道場晃規選手
 森山智徳が青板バックで押さえて、すかさず岸澤賢太が切る。赤板で岸澤を切った道場晃規(写真)は、谷口遼平ラインを受けて4番手を確保する。道場は前と車間を切ってタイミングを取り、最終バックから車間を詰めていく。西村光太のけん制が届かない外を踏んだ道場が、直線で突き抜けた。
 「切って、切っての展開で谷口さんが来るだろうし、その4番手を取って、行けるところから仕掛ける作戦でした。(京王閣記念の落車で壊れた)フレームが戻ってきて、それがだいぶ良いですね。(6月伊東FIで)鎖骨骨折をして、その後は調子が良くなかったけど、成績も悪くなく、自信をもって走れている。地元は1着を取る気持ちでやっている。自分の力を信じて準決勝には絶対行きたいです」
 谷口の先行に乗った西村光太が2着。
 「(谷口に)全部お任せでした。1番苦手な戦法をやってくれましたね。しっかり踏み直せていました。(自分は)前回より良くて、今年1番いいですね。練習の感じと自転車がマッチしている。余裕もあったし、スピードに対応ができた。踏んだらどれだけ進むか分かります。修正点もないです」


<4R>

吉澤純平選手
吉澤純平選手
 青板3コーナーで嵯峨昇喜郎が宮本隼輔を切り、その上を中井太祐が押さえる。近畿勢が赤板で出切ると、追った菊池岳仁がすかさず叩いて1センターで主導権を奪う。快調に飛ばす菊池を、番手の吉澤純平(写真)は車間を切って追走。吉澤は、最終2センターで持ち出した中井に合わせて前に踏み、ゴール前で抜け出した。
 「前を取り気味でスタートを出て、中国勢が前を取ったんで、駆けやすいところが取れたなと思った。余裕はあったんですけど、すぐ後ろが中井君だったんで難しかった。1着を取らないとっていうのもあったけど、菊池君を(2着に)残せなかったのは申し訳ない。車間を切ったけど、詰まって来ちゃったし、僕が踏みすぎたっていうのもある」
 切って好位を占めた中井太祐が吉澤に続いて2着に入った。
 「理想的な流れでしたね。(関東勢の後ろの)その位置取りを考えてました。(菊池が)すんなり駆けてそうだったし、番手の吉澤さんも余裕がありそうで仕掛けが遅くなりました。2着なんで(状態は)良いと思ってます。調子は変わらないんですけど、前回結果を出せたし、良い波に乗っていきたい」


<5R>

 吉本卓仁が格清洋介を切って、すかさず村田瑞季が押さえる。周回中に3番手だった坂本貴史は、九州勢にスイッチすると、内の格清をキメて6番手を確保する。最終ホームで4番手から吉本が仕掛けると、小堺浩二は合わせて2コーナーで番手まくりを放つ。合わされた吉本はバック過ぎに後退するが、さらにその上を坂本がまくり上げる。4コーナー過ぎに小堺をとらえた坂本が1着をつかんだ。
 「想定通りの感じで、練習でやったことを崩さないように走った。強い人ならジャンの4角からホームで行くんでしょうけど、かかっていてビビった。小堺さんが踏んだかはわからずに、吉本さんに勢いをもらって気持ち良く外を踏んだ。これを崩さないように出せるものをしっかりと出したい」
 坂本の加速に付け切った内藤宣彦が2着。
 「位置を取って仕掛ける感じでしたね。6番手を確保してくれて頑張ってくれた。吉本君がためる感じになると、5、6、7番手になるなあと思いながらだったが、仕掛けくれたので隊列が短くなって展開が向いた。(坂本の)乗り越えるスピードが良かったですね。付いていて一杯だったので、今日(初日)の感じだと二次予選以降が不安。競輪祭は補充待機だったので練習不足ですね」


<6R>

堀内俊介選手
堀内俊介選手
 青板周回で早めに動き出した堀内俊介(写真)が、山岸佳太を押さえて誘導後位に収まる。林慶次郎が2センターで堀内を叩くと、山岸は赤板で仕掛けて巻き返す。だが、林が突っ張って主導権を守り切り、山岸は河野通孝に迎え入れられて最終ホームで2番手に降りる。堀内は隊列がごちゃついたところを巻き返して、バックで林をまくり切る。そのまま押し切った堀内が白星を飾った。
 「厳しいメンバーだし、いろいろ考えてたんですけど、結局は流れの中で行くのが良いのかなって思った。ごちゃついて、緩んでたのでダメもとというか、今しかないと思って仕掛けました。踏んだ瞬間の出は悪くなかったです。タイミングが取りづらかったけど、乗り越えられてよかった。スピードに乗ってからは余裕がありましたね」
 林後位に収まった山岸だが、最終バックで接触してしまい落車。外に落車を避けた河野通孝はそのまま踏み上げて、2着に強襲した。
 「スタートで踏み遅れて後ろ攻めになったんですけど、山岸なら仕掛けてくれると思ってたんで。仕掛けた瞬間良いスピードで、(先頭まで)行っちゃうかなと思ったけど林君が強かったですね。(ホームで)自分も中途半端な降り方をしちゃったし、もっと早めに山岸を迎え入れていれば、堀内君に合わせて出て行けたのかなと。とりあえず落合(達彦)君を抜こうと思って踏んだら思いのほか進んでくれた。道中は僕なりに余裕があったし、状態は良いと思います」


<7R>

 吉田篤史が切ってレースが動き出し、黒沢征治が続いて押さえる。黒沢を新村穣が叩くと、南関勢を追った久米康平が赤板で仕掛けて新村を叩きにいく。久米が叩き切るが、四国ライン3番手の篠原龍馬が離れてしまい、3番手には新村が収まる。新村が最終2コーナーからまくると、橋本強は大きく外に張る。だが、鈴木良太が内をすくって、橋本は3車併走の真ん中に封じられてしまい車を下げざるを得ない。新村が3コーナー過ぎに久米をとらえて1着でゴールした。
 「強い人ばかりだったので、どうしたら(鈴木)良太さんと勝ち上がれるか、レースの組み立てを考えて走ろうと。(自分達のラインが)2車だったので、ペースを上げ過ぎないようにして、久米さんの巻き返しが早かったので、そこは意地を張らずにそこからまた行けるペースにした。もちろん、もつところからだったら、出させないように踏むつもりでした。橋本さんは強いし、いいブロックがくるなと思って走っていました。記念の勝ち上がりは1回しかなくて、それが静岡。今回も静岡県の伊東なので。そこはよかったけど、まだまだ詰めるところがありますね」
 新村がまくり切るが、3コーナーでは黒沢征治の不注意走行によって後続の3車が落車してしまう。逃げた久米康平が、新村と車間の空いた2着に粘り込んだ。
 「一撃決めるつもりで前からになりました。(踏む距離が)ロングになったけど、順番が来たら勝負をしようと。長くなったので、最後までもつようにペースで行ったら(新村に)スピード差でスッと行かれてしまった。掛かっていなくて橋本さんに迷惑をかけましたね。感じは悪くないけど、距離が長かった。事故があったので(2着に)残った印象です」


<8R>

小松崎大地選手
小松崎大地選手
 日高裕太が3番手の小畑勝広にフタをして青板バックを通過。日高が赤板過ぎに前に出ると、南関勢を九州勢が追う。前受けから南関勢を出させた小松崎大地(写真)は、3番手内で粘って原井博斗を外に弾く。好位取りに成功した小松崎は、小畑勝広の巻き返しに合わせて最終ホームで発進。日高を力でねじ伏せてバックで出切り、大槻寛徳も振り切って実力を示した。
 「(日高が小畑にフタをして)展開が遅くなるなと思ったんで、1回(南関勢を)受けてからどうするか、とっさに判断しました。小畑の仕掛けが見えたんで、まだ(態勢が整わず)厳しかったけど踏みました。日高が強かったんで、かなり脚力を消耗したけど1着を取れてよかった。前回が前回だったんで不安はあったけど、少しは前進したと思います」
 小松崎マークの大槻寛徳が、2分の1車輪差まで迫って2着。
 「(小松崎は)100点だったと思います。引かずに前々に行ってくれたんで。むしろ自分がちょっと危なかった。踏み直しもすごかったですね。久しぶりに良い(小松崎)大地でした。GIのメンバーの中だと厳しいけど、こういう時には頑張りたいですね」


<9R>

 青板周回で5番手から野口裕史が動きだすと、3番手の後藤悠が中バンクに上がってけん制する。前受けの中島詩音は青板バックで自ら誘導を降ろしてペースアップ。周回中に8番手だった香川雄介は、野口の番手に追い上げて大塚玲と併走になる。野口は赤板目掛けてスパートし、抵抗する中島を叩き切る。番手は香川が奪うが、さばかれた大塚が内に降りて隊列はもつれ気味。周回中から9番手でジッと脚をためていた原田研太朗は、最終ホームから一気に仕掛ける。抜群の加速を見せた原田は、2コーナー過ぎにあっさりと野口をまくり切って、そのまま押し切った。
 「周回中に併走もどうかと思って9番手で。自分だけ脚を使っていなかったので、思ったよりも出てくれた。今回から以前使っていたフレームに変えた。今年の冬に使っていたやつですね。今日(初日)の感じだったら、このままで。野口さんをまくれているし、良いのかも。伊東は今期だけで3回目ですし、33はコーナーで遠心力を使えますね」
 後藤悠は、原田を追いかけるようにして1コーナーで仕掛ける。ゴール前で原田に追いついて2着でゴール。
 「点数がなくて、S級点を確保するためにも5着以内にと。位置を取りにいきました。(仕掛けに)行こうと思ったところが原田さんと被ったので、追うような形になって運も良かったです。サドルのポジションをいじってしっくりきていないので、このあとまたいじります。前回の奈良が感覚が良くて、その時のポジションに戻します」


<10R>

上杉嘉槻選手
上杉嘉槻選手
 石原颯が中団の上杉嘉槻(写真)にフタをすると、上杉は青板バックから車を下げ始めて7番手に引き切る。石原は前と車間を切って上杉をけん制し、赤板を過ぎても誘導が残ったまま。石原が2コーナーで仕掛けるが、前の小林泰正も腹を決めて駆けだして、両者で先行争いになる。上杉は最終ホームで仕掛けて、踏み合う2人のさらに上をまくり上げる。3コーナーで出切った上杉が、好展開をモノにした。
 「切って切って先行の展開を考えてたんですけど、フタされたんで、引いて行けるところから行こうと。でも、ピッチが速くなって、行けるかなと思ったところで踏まれてしまった。スピードをもらえたんで、踏み出しはかなり良かった。でも、武藤(龍生)さんと、石原君が重なってくれてたんで(ブロックされず)ラッキーでした。1周ぐらいなら行けますね。ただ、33とかGレースだと押さえ先行は厳しいです」
 マークした森川大輔が上杉に続いた。
 「中団から、切ったところを叩いて先行かなと思ってたんですけど。そうならなくても、信頼して付いてました。あの展開は考えてなかったんですけど、結果オーライですね。付け切れてるし、自分も問題ないと思う」


<11R>

 寺沼伊織が8番手から動き出すと、今野有樹が4番手から先に動いて大石剣士を切る。寺沼がその上を切ると、酒井雄多がすかさずカマして主導権を握る。3番手に今野が追い上げて隊列がもつれると、大石は打鐘3コーナーから仕掛ける。大石が最終2コーナー過ぎに先頭に立ち、最後は佐々木龍が差し切った。
 「(大石)剣士が前を見ていてくれたし、自分は付いていくだけと。パッと前を見たら遠かったけど、苦しいところを行ってくれましたね。佐藤(愼太郎)さんを乗り越えたところで、行っちゃうなと安心した。次に(仕掛けが)来る気配もなかったので、落ち着いていた。今日(初日)で刺激は入りましたね。次の佐世保記念に向けて練習していて、今日は不安もあったが、1着でよかった。ダッシュの反応のところは修正したい」
 大石剣士が2着。ラインでの上位独占をメイクし、地元記念で最高のスタートを切った。
 「誰も出ないなら前からでと。前が踏み合っているのもあって、落ち着いて自分のタイミングで行けた。(隊列が)短くなっていたので、行きやすいタイミングでした。赤板で前と空き過ぎていたので、脚にはきていました。酒井君と踏んだタイミングが合っても行けたので、状態はいいのかなって。(練習に)引き続きいいですね。今回は必ず決勝(に乗る)と決めてきたので、乗れるように」


<12R>

山田久徳選手
山田久徳選手
 青板バックで犬伏湧也が、松井宏佑の上昇を突っ張る。突っ張られた松井は内に降りようと位置を探すが、山田久徳(写真)が踏み遅れずに4番手をキープして、中団は近畿勢が占める。突っ張った犬伏はそのままハイペースで先行。7番手に下げた松井は仕掛け切れない。山田は最終2コーナーから仕掛けて、渡部幸訓のブロックをかいくぐり、南修二とのゴール勝負を制して押し切った。
 「中団を取れたらいいなと思ってたし、スタートで取ってもらえたんで、思っていた展開になりました。(犬伏と松井が)結構踏み合ってて、簡単に巻き返すのはキツいかなと思って落ち着いて行った。(最終)ホームで行ける感じはしたけど、松井も来てなかったし落ち着いて。踏み合ってまくれただけだけど、まくった感触は良かったですよ」
 南修二は、赤板で和田真久留に降りられてしまうが、外から追い上げて位置を奪い返す。山田のまくりに続いて2着に入った。
 「(山田に)ほぼお任せでした。しっかり中団を取ってくれたし、うまく出てくれたんで強かった。さすがだと思います。感触はそんなにいい感じではなかったです。修正できる範囲だと思います」
 近畿ライン3番手の東口善朋まで3着に続いて、近畿ラインで確定板を独占した。
 「流れの中で中団を取れればベストでしたけど、ほぼ(山田)久徳に任せていました。(松井は)後方に置かれてもいつ仕掛けてくるか分からないし、久徳が被る前に行ってくれて良かった。ラインで独占するようにうまく踏んでくれた。余裕はあったし、前の動きも見えてました。33で前に迫れるぐらいまで差せてたんで悪くないですね」