『奈良競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:2月1日
 奈良競輪場で開設72周年記念「春日賞争覇戦(GIII)」が、2月2日に幕を開ける。グランプリ制覇後も和歌山、豊橋と記念を連続完全Vの脇本雄太をはじめ、古性優作、平原康多、新田祐大、佐藤慎太郎とS級S班5人が4日間のシリーズをリードする。三谷竜生、山本伸一、三谷将太、中井太祐ら地元勢の層も厚く、33バンクでのバトルは初日から目が離せない。2月1日の前検日は、奈良の短走路の感触を確かめる選手も多く、それぞれが入念な調整を行い、翌日からの戦いに備えた。
 記念シリーズ開催中の毎日、先着300人様に来場プレゼントや予想会などが予定されています。なお、奈良競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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 前回の大宮記念2355着で手ごたえを感じていた皿屋豊は、シリーズのオープニングで岐阜ベテランコンビと連係する。
 「(初日は)若い子たちに負けないようないぶし銀の走りをしたい。(志智俊夫、山口富生と)3人の年齢を足すと143歳ですからね(笑)。不安もあったんですけど、大宮は動けました。持病の腰痛があるんで、その痛みがそこまで出てないので走れていますね」
 昨年12月の西武園FIの343着、続く前回の小倉FIの235着と6走すべて最終バックを取っている金子幸央が近況を振り返る。
 「去年12月に高松で落車した影響はもうないですね。最近は1着を取れていないけど、感触自体は悪くない。絶対に先行って決めているわけじゃないですけど、まくりになっても最終バックは取れるようにって思っています。この2場所は(バックを)全部取れている。先月(1月25日)の誕生日がきて今年で30歳になって、年齢的にはもう若くもない。今年は勝負の年になると思って頑張っています」


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 前回の別府では悪天候で中止や順延の影響をもろに受けた嘉永泰斗だったが、最終日はまくりで白星を挙げて人気に応えた。
 「体の状態は悪くない。けど、着とかが良くないので、ちょっとチグハグな感じがします。(前回のあとは)いつも通り練習とケアをしてきました。(初日は)しっかりとラインで決まるように」
 「また嘉永と一緒ですね」と園田匠は、近況セットが多い嘉永の名前を見つけて、待ち望んだ9車立てに気持ちを込める。
 「3場所前の岸和田は3日間(嘉永と)一緒で、前回の広島の初日にも連係している。直近で5度目ですね。1着を取らせてもらっていますし、いつも頑張ってくれる。あとは自分がしっかり走るだけ。ここ最近はずっとFIだったし、久々の記念なんでね」


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 昨年のグランプリシリーズの最終日に落車に見舞われた太田竜馬は、今シリーズが23年の初場所。1カ月ぶりのレースで慎重なコメントに終始した。
 「(落車の怪我は)擦過傷と打撲だけど、状態もあんまり良くなかったのでしっかりと休んでと。(それでいまは)いい状態ではないけど、マシには。あとは走ってみないとわからないので、走ってみてですね」
 1月は配分がなく、ここから23年のスタートを切る芦澤大輔だが、1カ月をトレーニングに充てられたわけでもなさそうで、自ちょう気味に口を開く。
 「腰を痛めたところもあって、最悪でした。練習自体もそんなにできていない。しっかりと管理できていない自分が甘かった。でも、(23年)いいスタートを切れるように頑張っていきたい」


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 中井太祐は前回の京王閣FIを123着。昨年6月の防府FI以来となる久々の決勝進出でリズム良く地元記念を迎える。
 「(前回から中6日で)疲れはとくにないです。いい状態でこられました。不安はないですし、一戦、一戦、勝ち上がっていきたい」
 3勝をマークした和歌山記念のあとは、松山FIを欠場した山田英明は2週間以上空いたローテーションで状態はどうか。
 「ちょっと体調を崩したんで、(松山を)休ませてもらいました。2、3日で治ったんで大丈夫だと思います。練習はしてきました。(奈良は)久しぶりで全然、記憶にない。(指定練習で)感覚をつかんで、仕掛けどころを逃さないようにしたい」


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菊池岳仁選手
菊池岳仁選手
 昨年12月にヤンググランプリを制した菊池岳仁(写真)は、年明け初場所の立川記念を2512着。続く松戸FIを625着も順調をアピールする。
 「変わらず練習をやってきてます。立川記念は2日目が良くなかったけど、3日目、最終日は悪い感じはしなかった。全日本選抜に向けてという感じですけど、ここもしっかりと練習はしてきました」
 前回の別府FIで失格の憂き目をみた天田裕輝は、相性のいい菊池とのタッグで流れを変えたい。
 「(初日は)菊池君の番手なら、なにも言うことはないですね。しっかりと付いていって決めたい。調子自体もちょっとずつ良くなっているので、こういう番組を生かせるように。菊池君とは何度も連係していますし、ワンツーも決まっていますね」


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取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 前回の松山FIでは優出を逃すも、2勝を挙げて上々の動きを見せた取鳥雄吾(写真)。だが、スッキリとはいかない様子だ。
 「(前回は)初日が良くて、2日目にさらなる上積みをって思ったら、大失敗をしました。脚の状態は悪くなかったけど、自転車とかみ合わなかった。僕の体が悪いからしっくりこないのか、(前検日に)乗ってみて微調整しようかなと」
 直近の3場所で5勝の固め打ちの佐々木眞也は、父であり師匠でもある佐々木龍也さん(神奈川・57期、引退)との積み重ねのたまもの。
 「ここ最近は1着を取れていますけど、自転車やセッティング、練習方法とかはなにも変えていないですね。ずっと父のアドバイスを聞きながら、しっかりと練習を積み重ねてきたおかげだと思っています。奈良はA級の時に1度だけ走ったことがあります」


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北井佑季選手
北井佑季選手
 ケレン味のない走りで着実に力をつけている北井佑季(写真)は、今月の全日本選抜でGIデビュー。そこでブレイクするためにも、9車立ての今シリーズの一戦、一戦が重要になってくる。
 「今年は初めてGIに出られるので、そこでしっかりと自分の走りをと思っている。それでどうなるか、学ぶことがあるかなと。(近況は)自分としては積極的な走りができている。でも、決勝には乗れているけど、勝ち切れてないので、しっかりと勝ち切りたい」
 前回の松戸FIの612着から10日以上空いた東龍之介は、そこから状態を上げている様子だ。
 「前回の初日はダメでしたけど、ここ最近は状態的に良くなってきている。今回は競走間隔が空いていたので、しっかりと追い込んでこれた。上積みはあると思います。北井さんとは初めての連係ですね。(年齢は)同い年です。しっかりと付け切って、自分もうまく仕事をしてワンツーを決められるように」


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 直近2場所で勝ち星のない小松崎大地は、その近況をふまえて厳しい表情でこう口を開く。
 「悪いですね。(その理由は)自分のなかでわかっているし、考えをあらためなきゃいけない。それがわかったのは良かった。競走形態もレベルもどんどん上がっているので、食らいついていけるように」
 石原颯は、今シリーズが3度目の奈良バンク。過去2度ともにGIIIの当所で4勝と当所を得意としている。
 「(ここ2場所は)良かったり、悪かったりですね。前回は結構、いい感じだった。(奈良は)個人的には好きなバンクなんで、今回も頑張りたい。駆けやすいし、直線が短いんで楽ですね」


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中井俊亮選手
中井俊亮選手
 一昨年に次ぐ地元記念の優出を見据えて、中井俊亮(写真)が目の前の一戦の全力投球の構えだ。
 「一戦、一戦を勝ち上がっていって、決勝戦に乗れるように。そこが最終目標です。雪とかもあって、いつも通りの練習とはいかなかったけど、できることはやってきました。後手だけは踏まないように、ラインでしっかりと決めたい」
 3週間以上とレース間隔が空いた飯野祐太は、コンディション面でも問題はなさそう。初日に連係する阿部拓真との連係実績も十分だ。
 「立川からかなり空きましたけど、体調も崩すことなくしっかりと練習してきました。練習での感覚自体も上向いてきている感じがあったので、結果を出したいですね。阿部君とは優勝した去年(12月)の小松島以来ですね。いつも前で頑張ってくれますし、信頼して任せます」


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三谷将太選手
三谷将太選手
 一昨年5月の当所でGIII初制覇と遂げた三谷将太(写真)にとっては、思い出の詰まった地元バンクだ。
 「気持ちもしっかりとつくってきたし、しっかりとやれることはやってきた。前回は追加だったけど、レースでしか得られないこともあるので、しっかりと走ってきた。直前は雪とか凍結とかであんまり乗れなかったけど、やってきました。自分のできることを精いっぱいやるだけです」
 中西大は前回の地元、和歌山記念が1494着。一次予選の1勝にとどまったが、成績面以上に好感触を得ている。
 「(前々回の)岸和田も決勝に乗れてないけど。和歌山もやりたいことができている。動きは悪くないので、あとはそれを成績につなげるだけだと思います。(前回のあとは)雪とかもあって思ったよりも乗れなかったけど、自転車にまたがった感じは悪くなかった」


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三谷竜生選手
三谷竜生選手
 三谷竜生(写真)は、前回の京王閣FI決勝で中井太祐の番手を守り切って追い込みで優勝。V獲りで弾みをつけて、一次予選はラインの先頭で近畿勢をリードする。
 「気合が入っているし、結果を残せるように頑張りたい。調子自体もいいですし、ここに向けてしっかりとやってこられたかなと。(今シリーズは)脇本(雄太)、古性(優作)がいるんで、抜くだけですね(笑)」
 昨年12月の伊東記念で落車した山本伸一が、鎖骨を骨折。地元記念が復帰場所となる。
 「手術してすぐに動きすぎて、化のうしたこともあったけど。練習はできてます。本格的な練習は2、3週間くらいですね。練習では7、8割くらいには戻っているかと。あとはレースで走ってみないとわからないですね」


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脇本雄太選手
脇本雄太選手
 昨年末にグランプリを制して賞金王にも輝いた脇本雄太(写真)は、23年の初場所となる和歌山記念を完全V。続く豊橋記念でも4連勝での優勝と、昨年11月の競輪祭から11連勝中。向かうところ敵なしの状態だ。
 「(状態は前回から)横ばいって言いたいところなんですけど、豊橋の3日目の夜くらいから持病のヘルニアが出た。中2日で治療をメインにやってきた。完治はどのみちしないので、痛みが残っている状態だけど。ここまで痛みが強いのは久しぶりですね。できる限りのことはやってきた。走る以上はしっかりと」
 グランプリで脇本とのワンツーから、その後の2場所で先着を許したのは脇本のみ。古性優作も和歌山、豊橋の記念でオール連対と、抜群の成績を残している。
 「(脇本は)一番強い選手ですから、なかなか厳しいものがある。自分は自力で動いた時に、しっかりと動けているので調子自体は悪くない。脇本さんは連係すればするほど、新しい引き出しを出してくる。そこに対応し切れていない。なかなか追いついていないです」
 立川記念を完全Vと幸先のいいスタートを切った新田祐大は、前回の和歌山記念を3118着。決勝は脇本との力勝負から、飛び付くも8着に沈んだ。
 「(今年最初の立川記念は)すごくいい形でスタートができたかなと思っています。トレーニングとしては、今年の目標を決めてトレーニングを開始した感じですね。体としては追い込んできた。ナショナルチームの選考記録会が一昨日ですかね、あって。チームスプリントの1走目を走ったらPB(パーソナルベスト)が出たんで、かなりいい状態だと。自分の体の感覚よりは、パフォーマンスは上がっていると思います」