『第6回大阪・関西万博協賛競輪in和歌山(GIII)レポート』 初日編

配信日:8月10日

 昼夜リレーGIIIが8月10日に和歌山競輪場で開催の「第6回大阪・関西万博協賛競輪(GIII)」から始まった。メインの特選レースはゴール前でコースを突いて鋭く伸びた原誠宏が勝利。一次予選は主力と目された選手たちが順当に力を発揮し、地元の近畿勢も大半が勝ち上がりを決めた。大会2日目の11日は、準決進出をかけて二次予選7個レースが争われる。
 GIIIシリーズは開催中の毎日、豪華解説陣によるスペシャル予想会、抽選によりオリジナルクオカードのプレゼントなどが実施されます。また、山の日で祝日となる11日には吉川美穂&稲毛健太の地元師弟コンビによるトークショー(5R発売中・11時50分頃~)や選手会和歌山支部チャリティー自転車かき氷(商品がなくなり次第終了)が予定されています。和歌山競輪場では、みなさまのご来場お待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

立部楓真選手
立部楓真選手
 スタートを取った坂本紘規が、赤板で山田諒の上昇を突っ張る。周回中から4番手だった立部楓真(写真)は、前に踏み遅れることなく中団をキープ。立部が前と車間を切り、山田も7番手で間合いを取って、隊列は間延びした一本棒で最終周回。立部は空けた車間を詰めた勢いのままに2コーナーからまくり発進。怒涛の加速で竹村勇祐のブロックをかいくぐり、後ろを引き離してゴールした。
 「(周回中の隊列は)あの形を考えていた。坂本さんラインの後ろからで、いけるところからいこうと。脚をためていたし、一番脚を使っていなくて、展開が向いた。この風の中で先行はキツいだろうと。警戒されていない内に1着を取れて良かった。追加が入ってほしいと思っていたから状態は大丈夫」
 坂本をマークした竹村勇祐は立部のまくりは止められない。それでも池田憲昭はブロックして追走を許さない。返す刀で前に踏み込んで2着に入った。
 「坂本君が2周突っ張ってくれて風関係なく、キツいだろうなと。立部君がジャンカマシなら出させて4番手でもと思ったけど、坂本君もペースを上げていましたね。坂本君を残せず申し訳ない。脚は大丈夫。選手紹介で感覚が良くて、今日はいけるなと思った」


<2R>

荻原尚人選手
荻原尚人選手
 前受けの酒井雄多は5番手から動き出した酒井拳蔵の動きを見て、赤板前に誘導を残したまま早めに車を下げる。酒井拳、畝木努、植原琢也の順で切った上を、酒井雄はすかさず巻き返して打鐘過ぎに先頭に立つ。一旦ペースに入れた酒井雄だが、最終ホーム付近で踏み上げて強風の中を切り裂いていく。荻原尚人(写真)は若干前と車間を切って後ろをけん制し、ゴール前で酒井雄を差し切った。
 「スタートで取れた位置なりの展開を想定してました。前ならカマシメインだし、中団からになっても、酒井(雄)はなんでもできるんで信頼してました。でも、正直重かった。風も強いからきっと全員重いんだろうなと思ったらその通りでしたね。2カ月前ぐらいから自力で動いていた時のセッティングに戻してみた。そこからバランスが良くなった感じがしますね」
 台風が接近した影響で強風のバンクコンディションとなった和歌山バンク。その中で酒井雄多は先行して荻原とのワンツーを決めた。
 「基本は前から、全員に切らせてから先行するのが理想でした。その通りになったけど、自分のスタートが甘くて後ろになるかなと思ったら荻原さんが前を取ってくれた。そこは感謝ですね。風はすごい強かったです。ずっと上ってる感じでした」


<3R>

 前受けの上野雅彦は藤田周磨を受けて4番手に下げ、中団は藤田ラインに続いた高橋和也と併走になる。高橋は外併走から打鐘3コーナーで仕掛けて、最終ホームで藤田を叩く。上野は高橋ラインに切り替えて、2コーナー過ぎから仕掛ける。3コーナーで高橋をまくり切った上野が押し切った。
 「バックが強烈な向かい風なので、押さえて駆けるのはしんどいと思った。なので、なるべく脚を使わない組み立てをしようと思った。高橋さんが思ったタイミングで行ってくれて、すんなり切り替えることができた。スピードの乗りは良かったけど、前回の岸和田からスピードに乗ってから後輪が跳ねる感じがするから、1コーナー、1センターでは回して2コーナーのくだりで踏んだ。セッティングが良い感じですね。風が強くてもタイミングを逃さず行ったほうが決まると思う」
 最終1ホームで上野に離れた三宅達也だったが、けん命に追いかけて最終バックで追いつく。2着に続いて、薄氷を踏む思いで二次予選に勝ち上がった。
 「上野君は前から詰まったところで行くと思ってた。タイミング的にあそこからの仕掛けだったみたいだけど、最近はダッシュ勝負になるとキツい。追いつくとは思ったけど、抜けないなとも思った。ワンツースリーで良かった。感覚は変わらず。展開次第ですね」


<4R>

高久保雄介選手
高久保雄介選手
 前受けの松岡晋乃介が、赤板で中井俊亮の上昇を突っ張る。中井は7番手に入り直して態勢を立て直す。松岡が流し気味でいると、小原唯志が5番手から打鐘で仕掛けて先頭に立つ。小原が出切ると、今度はすかさず2センターで平尾一晃が仕掛ける。中井は九州勢の仕掛けを追って、最終2コーナーからまくり上げる。中井が3コーナーで平尾をねじ伏せると、最後は番手の高久保雄介(写真)が差し切った。
 「(中井は突っ張られても)冷静やなと思って後ろで見てました。ここで行くだろうなってタイミングで行ったし、言うことないですよ。(調子は)だいぶましになりました。最近はトルクが出てなかったけど、この風の中でも余裕があったんで。体重が3、4キロ落ちたんですけど、2キロぐらいは戻った。調子が良くなって、頑張って練習しすぎて夏バテしたんでしょうね」
 一旦は突っ張られた中井俊亮だが、流れに乗って立て直し、力の違いを示した。
 「一回しっかり切ってと思って早めに動いたけど、車間を切られてしまって切れなかった。道中は迷ったんですけど、前が仕掛けてくれたんで。平尾君のラインに続いてと思ったら、松川(高大)さんが降りたんで苦しくなった。でも、乗り越えられて良かったです。前回に比べたら良い状態だと思います」


<5R>

 赤板で新村穣が突っ張って佐山寛明を出させない。周回中に4番手の晝田宗一郎はサラ脚で中団をキープ。新村がペース先行のままレースは進む。新村が残り1周でスピードを上げるが、車間を切って間合いを取った晝田が最終2コーナーから仕掛ける。新村をねじ伏せた晝田が3コーナーで出切って1着でゴールした。
 「スタートは前か後ろかと思っていた。中団からになって先に切ろうと迷っていたら、新村さんがそわそわしだしてなにかあるだろうと。そうしたら少しモガき合う感じになってくれて、脚を使わずそのまま中団でした。踏み上げて3歩目ぐらいまでは良かったけど、新村さんも地脚でジワジワって感じでしたね。嶋津(拓弥)さんに絡まれると思ったけど、絡まれなかったので大丈夫だろうと。脚を使っていなくて一瞬スピードに乗れたのが良かったと思う」
 新村マークの嶋津拓弥は、晝田をけん制するも止められない。追走した堤洋をブロックして、そのまま前に踏み込んで2着に入った。
 「後ろで付いていてもだいぶ風をもらっていたので、新村君は脚を削られているんだろうと感じた。もう少し仕事するところでうまく引きつけてやりたかった。晝田君が良いスピードでしたね。初手で晝田君のラインが中団だったのが想定外。近畿勢が中団が良かった。新村君に頑張ってもらっただけだけど、悪くはないと思う」


<6R>

新田康仁選手
新田康仁選手
 原井博斗が赤板で脇本勇希を切って、道場晃規が九州勢を追う。脇本は7番手まですんなりと車を下げ切る。4番手の道場は中バンクに上がって脇本をけん制。脇本はなかなか仕掛け切れない。道場は原井が打鐘過ぎに内を空けている隙を見逃さず、2センターで内をすくって前に出切り、番手の新田康仁(写真)が追走する。この動きに反応が遅れた原井は大きく車間が空いてしまい、静岡勢2人で後ろを千切る。直線では脇本のまくりに乗った古賀勝大が猛追を見せるが、新田がゴール前で抜け出して白星をつかんだ。
 「予想通りの並びでした。道場君は仕掛ける前に自転車が寝ていたんで、内に行くだろうなって分かって準備は出来ていた。風が強くてホームの掛かりはめちゃくちゃ良かったし、ゴールまで自分の仕事をして残したかった。でも、古賀君が伸びてきちゃって残せなかったんで、悔しいね。ケガの影響はないけど、体のひずみみたいなものを感じた。セッティングで修正できる範囲だと思うので、いじってみます」
 後手踏んだ脇本だが、最終2コーナーからまくって原井をまくり切る。追走した古賀勝大は直線で鋭い伸びを見せて2着に食い込んだ。
  「脇本君は地脚もダッシュもあるんで、離れないようにと思って付いてました。バックの向かい風がおかしいくらいすごくて、(脇本)勇希頑張れって思いながら付いてた。だいぶしんどかったですね。ホームの追い風で伸びてくれたんだと思う」


<7R>

 前受けした緒方将樹を、上杉嘉槻が赤板で勢いよく押さえる。蕗澤鴻太郎はこの動きには反応せず、7番手で構える。上杉がそのまま徐々にペースを上げて先行態勢。中団の緒方は2コーナーから仕掛けるが、その上を蕗澤もまくり上げる。蕗澤は上杉がまくり切ったさらに外を伸びて1着を手にした。
 「濱田(浩司)さんにスタートで前を取られたのは予想外だった。上杉君が良いペースで切ってきたので1回見ました。上杉君がかなり踏んでいたので、仕掛けるのはキツいなと。タイミングを計っていったほうがいいと思った。(最終)2コーナーを過ぎて踏みました。間に合わないと思ったので。踏んだ感じで1着までいけるなと思ったので、調子は良い」
 蕗澤マークの竹山陵太が2着に続いた。
 「スタートで前を取りたかったけど、濱田さんに負けた。上杉君はかなりフカしていましたね。蕗澤君が強いから自分は信じて付いていくだけでした。自分が2着で売れていたので、2着に入るために必死でした。風が強い中で付いていけているので、良いのかなと思う」


<8R>

貴志修己選手
貴志修己選手
 藤井準也が赤板で切って、受けた佐々木眞也は4番手に下がって、後ろの貴志修己(写真)をけん制する。貴志が一旦構えると、佐々木は打鐘前に中団から藤井を切って先頭へ。貴志は打鐘3コーナーから踏み上げて佐々木に襲い掛かる。最終1コーナーで先頭に立った貴志が快調に飛ばしていき、番手の池野健太すらも寄せ付けずに逃げ切った。
 「中団から、赤板で切ったラインに付いて行くか、どの形になっても先行しようと思ってました。(藤井が)押さえるのが遅かったし、風も強かったんでホームでしっかりスピードに乗せて駆けようと思った。3番手くらいに並んでから踏み込んで、流れに乗れてる感じで良かったと思う。バックの風できつかった。けど、ノッキングしちゃう癖が出ないようにと思って最近は取り組んでいるし、それができた。しっかり自転車に力が伝わっていると思う」
 マークの池野健太は、貴志を差し切れずに2着。
 「貴志君はとにかく先行って感じだったし、付いていてもピリピリしてしましたよ。風に気を取られないように、離れないことは意識してました。ジャン前に内に差してまずいなと思ったけど、一生懸命走りました。貴志君がタレて来る感じがして、車間を空けたら差し損じてしまって申し訳ないです」


<9R>

 黒沢征治が後ろ攻めからジワリと上昇を開始。黒沢が赤板で切った上を、すかさず今野有樹が叩く。関東勢の後ろは内の染谷幸喜と、外の松尾勇吾でもつれる。内の染谷は打鐘2センターで黒沢をすくって位置を上げ、山形一気の内で粘る。黒沢は冷静に最終2コーナーからまくり上げると、今野の番手から出た山形の上をのみ込んでいく。バック過ぎに出切った黒沢がそのまま押し切った。
 「南関勢の後ろからか、南関勢が後ろにこだわったら前からのつもりだったのに、南関勢が前を取ったのでかなり考えた。踏ませるように出れば、前がそれなりのペースになると思った。内から来られる前に仕掛ければよかったんですけど、立て直して落ち着いていけた。風に助けられましたね。出切ってからは踏める所まで踏んだ。風に押し負けなかったですね」
 黒沢マークの芦澤大輔だが伸びはいまひとつ。2コーナーで関東勢に切り替えた久島尚樹が芦澤を交わして2着に入った。
 「伸びは良かったですね。松尾君が芦澤さんに負けてしまったので、ごめんと思いながら切り替えた。綺麗に切り替えられたし脚を溜めていけた。正直、キツいですね。体力が戻っていない。普段よりキツい。ただ動きは悪くない」


<10R>

小林泰正選手
小林泰正選手
 赤板で竹内翼が飯田憲司を切って、小林泰正(写真)が2コーナー過ぎに竹内を押さえる。すかさず飯田が巻き返して、打鐘3コーナーで主導権を奪い返す。4番手を確保した小林は最終2コーナー過ぎから仕掛けると、じわじわと前団に迫っていく。飯田の抵抗を4コーナーでねじ伏せた小林に、岡田泰地もゴール前で鋭く迫る。ほぼ同時にゴールした両者だが、写真判定の結果は小林に軍配が上がった。
 「もうワンテンポ(飯田が)来るのが遅ければ突っ張るつもりでした。後ろから来れば先まくりを打つし、来なければ自分のタイミングでと思ってたけど、出が悪かったですね。バックで飯田さんに並ぶつもりが出が悪かった。あおりを受けたのと、風の影響ですね。かなりヒヤッとしたけど、ブロックをもらっても返せるぐらいのスピードだったんで。前回よりは状態は良いけど、まだ8、9割かな。かなり練習してきたんで、疲れが抜けてくれれば良くなると思う」
 岡田泰地は小林に微差まで迫った。
 「初手次第で、突っ張るか、中団から切って速度に乗せて、先行するか中団を取るかって感じでした。(小林)泰正は落ち着いていたし、信頼して付いてました。めちゃめちゃ重かったですね。泰正がきつい所で行ってくれたおかげです」


<11R>

 薦田将伍が赤板で金子幸央を突っ張る。中釜章成は周回中と変わらず4番手の位置をキープするが、打鐘で仕掛けて薦田を叩き切る。薦田をすくった金子が4番手を奪うが、レースは近畿勢のペース。逃げる中釜を番手から交わした藤田勝也が、地元GIIIを白星でスタートさせた。
 「(古賀勝大と貴志修己の)地元2人に続けて良かった。久しぶりに緊張した。中団を取ったので、待ってから追い風で行くと思ったけど薦田君が流していた所で行ってくれた。いつも中釜君は強いし、以前、和歌山で一緒に練習したりもしていたので信頼していた。残り3日間も気を引き締めて頑張る。状態は良いと思う」
 中団から迷わず仕掛けた中釜章成が2着。地元の前で気迫のレースを見せた。
 「地元のエースを付けていたのでプレッシャーでしたね。風の影響で逃げが決まっていなかったけど、欲を出すとダメなので行ける所で仕掛けようと思った。きつかったけど、みんな脚を使っていたし、(金子が)内に来たのもわかっていたので誰もこないだろうと。後は藤田さんに任せていた。最後、押し切れなかったのは脚の問題です」


<12R>

原誠宏選手
原誠宏選手
 北日本勢が前を取り、スタートを渋った小森貴大が後ろ攻め。4番手の石原颯は赤板前に後ろをけん制し、中団から先に切って先頭に立つ。小森はすかさず石原を叩いて打鐘手前で主導権を握る。踏んで出させた石原が中団で、飯野祐太は7番手に置かれる。小森がハイペースで駆ける中、番手の岡崎智哉は大きく車間を切って別線に釘をさす。岡崎はバック付近から車間を詰めつつ、外に張って後ろをけん制する。中団の石原はいっぱいで仕掛けられず、3コーナーでは原誠宏(写真)が内に進路を取って切り替える。原は中村圭志の内もすくって位置を上げると、直線で外を踏んだ岡崎と、小森の間を突き抜けた。
 「スタートであれだけけん制が入ったら、近畿に押さえ先行されるなと思った。石原君も作戦を切り替えてくれたんでしょう。(岡崎が車間を切って)前が遠いなと思いながら付いてました。(最終)3コーナーぐらいで石原が失速気味だったんで、内のコースを行かせてもらった。ずっとニュートラルに入ってたし、感じは良いです。セッティングを数ミリ下げたり、上げたりしました。今回はこのセッティングで走ると思う」
 なんとか小森を援護しようと車間を切った岡崎智哉だったが、最後は内から来た原に伸び負けて2着に終わった。
 「スタートの位置だけは決めて、後は彼(小森)のスタイルに任せてました。いつも後ろにチャンスのあるレースをしてくれるんで、それに応える走りをしたかった。今日(初日)のバンクコンディションであの距離を行ってくれてるんで、できることをしようと思って車間を切った。外を思いっきり踏んでと思ったら、自分も脚に来てました。伸びなかったです。自転車を変えたけど、風がすごすぎて良いか、悪いかは分からないです」
 原を追った塚本大樹が3着に入った。
 「3番手だったんで、特に考えることもなく、原さんが踏んだ後に踏もうぐらいしか考えてなかった。ホームからずっと緩んでたんで、何かなと思ったら車間を切ってたんですね。自分も原さんが踏んだコースを行きたかったけど、原さんが踏むのを待ってからでした。ずっと楽でしたし、今回はいけると思います」