『防府競輪開設65周年記念（GIII）レポート』 最終日編
配信日：10月28日
防府競輪開設65周年記念「周防国府杯争奪戦」（G3）は10月28日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。サバイバルを勝ち抜いた9戦士による決勝は、岩津裕介が中団から内のコースをスルスルと抜け、直線で追い込んで優勝。今年3回目の記念Vを手にした。
| 決勝戦 レース経過 |
中部コンビがゆっくりとスタートを出て浅井康太―金子貴志で前受け。単騎の野田源一が続き、中川誠一郎―岩津裕介―桑原大志が中団に構える。後方に脇本雄太―村上義弘―福田知也が待機。
青板を通過し4番手の中川は脇本を警戒しながら、2コーナーから上昇を始める。中川は早めに誘導を降ろすと、その上を脇本が押さえて赤板。脇本に村上―福田、中川ラインが中団で浅井―金子。野田が9番手の一本棒で打鐘を迎える。先行態勢の脇本がそのままペースを上げて駆ける。
最終ホームで7番手の浅井が巻き返すが、中川も中団から合わせてまくって出る。岩津のけん制で浅井は終了。逃げる脇本との車間を空けた村上は、中川との間合いを図りバックから番手発進。中川マークの岩津は、外の中川に付いて行かず3コーナーから内を進出する。番手まくりで中川に応戦した村上―福田を岩津が、好スピードですくって直線の入り口で先頭。後方に置かれていた野田は、岩津後位の桑原の内を突いて岩津を追走する。俊敏な動きで抜け出した岩津が、後続を振り切って優勝。2着に野田。3着争いは村上に踏み勝った中川。
岩津裕介選手 |
まさかの展開に周囲は度肝を抜かされたが、本人は至って冷静沈着で、引き揚げてきても飄々としたもの。各車が力勝負をして外を踏むと、空いた一瞬を職人・岩津裕介（写真）は見逃さなかった。反射的にコースに突っ込むと、絶妙なコース取りで優勝をさらった。
「中川さんもそうだけど、浅井君も位置取りは上手いから、今日は後方からどう巻き返していくかと思ってました。浅井君が中川さんに合わされた形になって、併走になって僕の所を狙ってきた感じだったんで、（けん制で）上がって戻ってきたその勢いで内に行った感じでした。桑原さんが3番手を固めてくれたのでコースができたし、流れが向いたものありましたね」
この優勝で賞金ランクは6位にアップ。念願のグランプリ出場に向け、また1歩近づいた。
「新田（祐大）君を抜けたのは大きいですね。でも、勝負は競輪祭なんで。今回は正直、体調があまり良くなかったので修正して。競輪祭でしっかり決められるように合わせていきたい」
準決勝と同様に、最悪の9番手に置かれた野田源一だったが、岩津に続く形から2着に入る。
「決勝は外を踏みたかったけど、自分でそういう流れを作れなかった。9番手になってしまったから、どうなるかと思ったけど。2着は残念だけど、あの展開からだから仕方ないでしょう」
中川誠一郎は一瞬優勝が見えたが、最短コースの岩津に敗れ3着に。
「脇本君は気合が入ってるだろうから、僕が上手く斬れば（脇本が）行ってくれると思った。ホームで一瞬詰まったけど、見てしまったんで行けなかった。いつものタイミングで行くべきでした。最後、踏み合いになって村上さんと勝負と思ったけど、内のコースはさすがですね。でも、これで（ダービー初日特選の）希望を残したと思うんで、次また頑張ります」
村上義弘は決勝は連係が決まらず。
「脇本君はすんなりの先行だったし、浅井君が来たのが見えたけど止まったんで4コーナー勝負と思ったけど。そうしたらすぐに中川君が来て、態勢が整う前に行かれてしまいました」
浅井康太は早めの巻き返しを試みたが、中川に合わされ万事休す。
「脇本君は早めにいくだろうけど、僕も力勝負がしたかったので。金子さんの（グランプリの）賞金のこともあるし。でも、次につながるレースはできたと思うんで、あとはあの上を行く力を付けて頑張るだけです」
前を託した金子貴志は「前が頑張ってくれたけど」と致し方なし。
「凄いスピードで行かれてしまったんで。（グランプリに向けて）まだ高松記念があるんでそこで頑張ります」
脇本雄太は力の限り逃げたが、最後は失速してシンガリ負け。
「中川さんは慌てて斬ってくれるかと思ったけど。4コーナーでケツを上げたんでヤバいと思った。出てからも浅井さんのロケット（カマシ）が怖かったんで流せなかった。ことごとくタイミングを潰されましたね」
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| ケイリンエボリューション |
河端朋之選手 |
大会最終日の第9レースに「KEIRIN EVOLUTION（ケイリン エボリューション）」が行われた。今年1月のいわき平、9月の前橋に続き、シリーズは今回で3回目。国際大会を規範とした競技規則で争われ、力勝負が展開された。レースは打鐘を過ぎても動きはなく、前受けした小原太樹が逃がされる予想外の展開に。初手でこの3番手を取った河端朋之（写真）が1センターからスパートすると、後続をブッ千切って優勝した。
「（初手で）遠澤（健二）さんを入れたけど、位置はどこからでもよかった。誰かが1回叩いてきてからどうしようかと思ってたけど、来なかったので。あとは自分のタイミングで行くだけでした。出切れるとは思ったので、あとは後ろが付いてくるかどうか。それだけ気になりました。今回は獲りたいというよりも、負けたくないという気持ちの方が強かったです。（本業の）競輪で見せるレースができてないんで、今日勝ててよかったです。この後はワールドカップがあるので、良い流れでいけますね。今回から（リオ）オリンピックへ（出場権利）のポイントが発生するんで、しっかりポイントを取りたいです」
三谷将太は離れながらも河端を懸命に追走し、2着を確保した。
「初手は枠なりであの位置（河端の後ろ）に。もっと早い仕掛けになると思ってたけどね。7番（小原）が飛び付いてくるかと思ったけど、とにかく必死で踏みました」
坂本亮馬は最後尾から内をすくって三谷の後ろに入ると、そのまま3着で入線した。
「スタートを取りに行こうとしたけどちょっと…。後ろになってしまったんで内を行くしか。失敗しました」
「（坂本が）まさか内からくるとは思わなかった」と話すのは高橋陽介。坂本に内をすくわれると、勝負所で車を下げて万事休す。
「横のないレースなんでまさか…。みな1着を狙ってるだろうし、着拾いのレースはしないと思ってたから。誰かが斬った所から、あとは自分がどうするかと思ってたけど。ああなったら河端君に有利になってしまう。すんなりの3番手でしょう。今日は何もできなかった」
小原太樹も予想外の展開に泣かされ4着に終わる。
「初手でSを取る予定もなかったし、まさか誰も押さえに来ないとは。周回中から『逃がされるパターンかな』と思いましたね。やることはやったけど、河端さんが3番手では無理ですね。掛かり具合も分からなかった。ただ、ギアが足りないかなと思ったけど、上げたらスタートで位置を取れないし。難しいです」
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