『高松競輪開設70周年記念（GIII）レポート』　初日編

　赤板1センターで三登誉哲がじわりと押さえて出て、単騎の石井毅まで続く。瓜生崇智が中団をキープして、佐々木悠葵（写真）は一本棒の8番手。ペースが上がらないまま打鐘を通過する。三登も徐々に踏み上げるが、4コーナーから瓜生がスパート。瓜生のスピードがよく三登をとらえる。が、瓜生ラインに続くように佐々木がその上をまくり上げる。志村太賀はさばかれ、前団をのみ込んだ佐々木が後続をちぎって快勝。
　「前を取った方が持ち味を生かせると思ったけど、（九州勢に）取られたので中団からになりました。仕掛けた感触はあまり良くなかったですかね。こんなに朝早いレースは初めてだったけど、普段は練習している時間なので勝てたのは良かったです」
　佐々木は止められずも、合志正臣は最終2センター過ぎに志村を一発で仕留めて2着に追い込んだ。
　「佐々木君はカマシとかまくりが強いって聞いていたので、前は取らせたくないなっていうので、前からでした。（佐々木に）合わせて出ていくか、先に仕掛けるかは（瓜生に）任せていた。風が強い中で頑張ってくれました。瓜生も3着に粘ってくれて良かった」

　周回中、3番手にポジションを取った山本伸一は、赤板過ぎに一度動き出したが、別線の動向を見極めてから打鐘前で再び踏み込む。南関勢が主導権を握り、追い上げた山本が3番手を確保する。間合いを取った山本は、最終3コーナー過ぎから追い込む。直線の入り口で逃げる望月一成をとらえて1着。
　「一番いいのは望月君の後ろかなと思っていて、3番手を取れたので良かったです。外田（心斗）君と松岡（孔明）君が踏み合っているのが見えたので、落ち着いて隙を見て3番手を取れました。もう少し早く仕掛けられたら良かったんですけど、望月君の掛かりが良かったです。練習はしっかりできているので悪くないと思います」
　山本マークから1輪差まで詰めた松岡健介が2着で近畿ワンツー。
　「山本君に任せて中団、中団で。（外田が打鐘の2センターで）遅れていたので3番手に入ったんだと思います。脚の状態は普通です」

　打鐘で主導権を握った小原周祐の上を藤田大輔が切るとインから畑段嵐士が3番手に進出して、もつれたところ伊藤颯馬が仕掛ける。小原も合わせて踏むが、伊藤が最終ホームで叩いて逃げる。伊藤がスピードに乗せて風を切り、別線は動けない。3コーナーで藤田が落車して、北村信明が乗り上げる。番手で絶好の坂本健太郎（写真）が、ゴール前できっちり伊藤を交わした。
　「ほとんどスタートで勝負が決まった感じでした。近畿は後ろ以外がいいっていうスタートの出方だったから、2番目、3番手に入れないように調整しながら踏んだ。（伊藤）颯馬が2車で良く行ってくれました。（自分は）もうちょっと余裕がないかと思っていたけど、意外と余裕があった。今年初勝利でホッとしています」
　打鐘の2センターでタイミング良くカマした伊藤颯馬が2着に逃げ残った。
　「（初手は）前か後ろかで、前からの組み立てになりました。カマシのつもりだったけど、（赤板の2コーナーで）粘ったら、小原さんが行ってくれたので自分に展開が向いた。（仕掛けた時は）上からだったし、前が団子になっていたので楽に行けたかなと思う。風とか気温の割には脚は回っています」

　市橋司優人、不破将登（写真）の順で切ったところを石原颯が仕掛けて打鐘の3コーナーで先頭に立つ。栗田貴徳は連結を外して、3番手に不破が入って隊列は一本棒になる。後続の仕掛けを警戒しながら、3番手の不破は最終バックでも仕掛けない。2センターで外に持ち出した不破が直線で抜け出した。
　「（初手は）石原君の後ろからがいいなと思っていて、取れたので1回切って4番手と思ったら、栗田さんがいなかったので3番手に入れました。ずっと余裕はあったんですけど、石原君の強さが未知数だったので…。伸びないところで仕掛けてしまったけど、乗り越えているので状態は悪くないと思います」
　2着争いはゴールで横一線。僅差で踏ん張った地元の石原颯が2着に粘り込んだ。
　「もうちょっとスピードが出るかと思ったけど、なかなか出なくて、踏み直そうとしても踏み直せなかったです。（地元記念の）緊張は特になかった。やることが決まっていたので。（2日目以降も）行けるところからどんどん行って、まくられたらまた練習するっていうくらいの気持ちで走ります」

　中国ラインが押さえて先頭に立つと、南潤は中団まで下げて森山智徳と併走。ペースを握った大川龍二がスローに落として、4番手の取り合いは決着がつかない。そのまま大川が腹を固めて先行策に出る。南は最終ホームで下げだして後方になる。4番手を単独になった森山が、2コーナーからまくりを打って抜け出した。
　「南君を出させない方が（勝てる）可能性が高いと思って併走しました。（中団を）取り切ってからは、まくりに行けそうだったのですぐに行った。中団争いで脚は削られていたけど、前を越えられたので良かったです。点数を上げたフレームに変えてからは、いい感じで走れている。体とかみ合っているのかなと思います」
　小川勇介は森山の踏み出しに遅れて、森山を張りながら番手から出た守谷陽介が2着。
　「大川君に任せていたので、大川君のおかげです。レースが見えてなくて、（森山が）1人で来たのに番手から出て行ってしまった。そこが反省点です」

　先に切った山本直は中部3車と単騎の高比良豪を受けて、山田諒（写真）が主導権。山田が絶妙なペースで別線を翻ろうして駆ける。最終2コーナーからまくった山本は、笠松信幸のけん制で不発。ゴールまできっちり踏み切った山田が、後続の強襲を退けてバースデー勝利を飾った。
　「（2月4日が自分の誕生日のことは）あまり考えてなかったんですけど、勝てて良かったです。先行の形はしっかり作ろうと思っていました。風が強いのでガンっと踏み上げたらスピードが落ちると思って、遅めに踏み上げたけど最後はタレて笠松さんに待ってもらった感じになった。あまり感触は良くないので、もうちょっとバチッとはまればいいんですけど」
　山本マークから直線で中のコースを踏んだ高原仁志が、最後のハンドル投げで2着に入った。
　「（山本を）全体的に信頼して任せていました。今回からフレームを換えて、感じはいいと思う。周回中とかもフワフワする感じはなかったです」

　打鐘過ぎに小原唯志が主導権を握って、谷口友真が中団に収まる。7番手で反撃のタイミングをうかがっていた太田竜馬は、最終ホーム手前から踏み出す。抜群の加速力で前団に襲い掛かった太田が、はやめに小原をとらえる。車間が空いた福島武士は追走でいっぱい。ロングまくりの太田が楽に押し切った。
　「行けるタイミングで、体が勝手に反応しました。踏んだ感じは、自分が思っていたよりも掛かっていた。（ここ1カ月間は）強くなるためにしっかり練習してきた。まだ仕上げている段階ですけど、いいと思います」
　福島は太田との車間が詰まらず、太田ライン3番手の友定祐己がゴール前で2着に上がった。
　「前が強いから僕は付いていっただけです。福島は口が空いていたんで、僕は楽でした。毎回こんな付いていくだけの展開だったらいいのに（笑）。感触は悪くはないです。高松は相性がいいし、走りやすい」

　根田空史を後方に置いて、主導権を握った林慶次郎が好ペースで風を切る。7番手の根田が最終2コーナーからまくって、佐伯辰哉も中団から合わせる。まくりで迫る2人が重なったところを島田竜二（写真）が外に振って別線の反撃を阻む。粘り込む林を島田がきっちり差し切った。
　「読み通りのレース展開になりました。あとは根田がどこから来るかで。（練習で）ちょっと肉離れっぽくなっていたけど、走り出したら痛いのは忘れていました」
　持ち前の先行力を存分に発揮した林慶次郎が2着で九州ワンツー。
　「1番車だったので、別線のどっちが前でも中団から行こうと思っていた。この風で2周行くのは厳しいけど、ジャンくらいでは行かないと仕掛けるタイミングがなくなるだろうなと。最近は成績が悪かったので、せめて自分のレースをしようと思っていました。それで（2着に）残れたので、最近で一番うれしいです」

　前受けの眞杉匠は、ゆっくり上昇してきた小玉拓真を突っ張ってマイペースで逃げる。番手は長島大介と中村昌弘で競り合いも、外併走の中村が最終1センターで遅れて、長島が番手を守り切る。逃げる眞杉に別線は反撃できず、絶好の展開となった長島がゴール前で余裕を持って抜け出した。
　「（中村との競りで）いつもとは違う緊張で、ちょっと疲れました。（番手を）取り切ってからは余裕があった。（眞杉は）2周行ってくれているので、僕も残そうと思って。（小林潤二まで）ライン3人で決まって良かったし、1着を取れたので悪くないんですけど、（自分の）仕上がりが分かるレースではなかったですね」
　別線を完封した眞杉匠が2着で栃木ワンツーが決まった。
　「突っ張りも、引いてカマシも考えていたけど、（小玉が）遅かったので突っ張りました。風が強いって聞いていたけど、前回の豊橋（記念）の方が強かったので気にならなかったです。豊橋の初日は5着で危うく飛ぶところだったけど、今回はラインで決まって良かった」

　佐藤雅春が赤板の2コーナーで大谷靖茂を押さえて主導権。前受けから7番手まで下げた佐々木豪は、打鐘の4コーナーから反撃に出ると、最終バックで佐藤をまくり切って快勝した。
　「自分が得意なレースパターンでした。（最終）バックで行こうか迷ったけど、前のスピードが上がった状態では厳しいし、4番（大谷）に車間を空けられたらキツイので先に仕掛けました。バックの風は強いけど、そのぶんホームは追っているから、仕掛けた感触は良かったです」
　地元の原誠宏が佐々木に続いて2着でゴール。
　「（佐々木は）ホームくらいからは行くと思っていたので、思い通りのレースをしてくれました。付いていくぶんには、踏めている感じはあります。（復帰戦だが）レース勘は周回中から悪くはなかったです」

　阿部大樹、水谷将司の順で切った上を、打鐘の2センターで町田太我（写真）が叩いて先制。筒井敦史は、松村友和との番手争いを踏み出しで制して町田にきっちり続く。3番手以降を突き放して町田が快調に駆けると、そのまま力強く押し切って白星スタートを切った。
　「イメージしていた通りに走れました。しっかり力を出し切れたかなと思います。この風の中でもしっかり踏めたので手ごたえはありました。4コーナーまで脚を残して、そこから踏み直すのが得意なところでもあるので良かったです。（前々回の）小倉からずっと調子はいいと思います」
　番手を死守した筒井敦史が2着をキープした。
　「俺のところを全員が狙ってるレースだと思ったので、まずは（松村との）番手争いをしのいで、あとは飛びつきも気にしながらでした。（町田は）前から引いてのカマシなので、外から（松村を）キメたかったけど、内から勝負して踏み出しで勝てたので良かった。取り切ってからは、俺の前（町田）が敵でした（笑）。町田はすごい掛かりだったし、タレないし、バイク誘導みたいでした」

　赤板でハナに立った松浦悠士は、打鐘手前で平原康多を突っ張る。松浦が中バンクに上がって後続をけん制すると、単騎の北津留翼（写真）は内に進路を取って先頭まで上昇。そこを最終ホームで高橋晋也が叩いて先行態勢に入る。すかさず反撃に出た平原の出は悪く、3番手を確保した北津留はバックからスパート。ピタリと続いてきた松浦を振り切って初日特選を制した。
　「何も考えずに走っていたら、内に行ってしまって前まで行っちゃいました。惰性で外に外せなかったので、そのまま踏んでいった感じですね。展開的に一番いい位置を回ることができたので、たまたまです。展開が向きました」
　北津留の仕掛けに乗る形になった松浦悠士が2着でゴールした。
　「前が取れたらホームくらいから仕掛けるつもりだったけど、取れなかったので一回切って平原さんを突っ張ろうと。北津留さんが内から来た時に、北津留さん任せになってしまったのは反省です。でも、ジャンで踏んでも余力はあったし、しっかり位置を取り切れたので、（北津留を）抜けたら良かったけどいいレースはできました」
　中四国ラインの3番手を固めた地元の香川雄介は、最終2センターから内のコースを踏んで3着に入った。
　「ジャンで内に差してしまったけど、そのまま松浦が踏んでくれたからなんとか付いて行けました。最後は内外線間をまっすぐ走っただけですよ。着的には悪くないですね」