地元の牙城を固める九州勢が、小野俊之を中心に必勝態勢を敷く。小野は現在、賞金ランキング9位。「グランプリには必ず乗れる」という信念は揺ぎ無いものがあるが、現実は厳しい状況であることは変わらない。最後の勝負となる全日本選抜競輪に向けて、賞金の上積みは必須条件だろう。近況は成績だけみれば9月オールスターも優出(8着)、前場所の松阪記念も優出(5着)と安定しているものの、7月24日の寛仁親王牌最終日から3カ月近く1着がない。だが初日は佐々木則幸と連係が有力で、そんな不安も今節は吹き飛ばしてくれるだろう。 またその小野とともに気合いが入るのが純地元の加8倉正義と紫原政文だ。加倉は近況のグレードレースは準決勝で涙を呑むことが続いているが、ここは目イチの仕上げで、加倉らしい気合満点の走りがみられるだろう。紫原は好調をキープしたまま、地元開催に臨む。京王閣記念では準決勝で落車も、いち早く再乗して優出し、決勝で吉岡の捲りに乗り3着。前走の向日町FIでも優勝し、好調の流れも味方につけて地元を盛り立てる。 この安定した追い込み型を一身に引っ張るのが荒井崇博だ。成績にはムラがあるのは否めないが、先導役としての自覚は高く、ここ一番の勝負強さは他の先行選手を凌駕している。特に今年の函館記念決勝は武田豊樹から逃げ切り優勝という快勝劇を演じており、連日の積極的なレースで他地区と真っ向勝負の構えだろう。そして九州勢にとって奮起したいのは、00年の古川圭の優勝以来、久留米記念は他地区が優勝しているということだ。そんな久留米記念を狙って他地区のツワモノが今回も終結、九州勢を脅かす。 まずは昨年の久留米記念優勝で復活し、一気に特別競輪初制覇まで上り詰めたのが後閑信一だ。競輪道の権化として、熱い走りでファンを魅了し、すでに今年は年末のグランプリチケットを奪取。39%の高い勝率でただいま絶好調の矢口啓一郎との強力ラインは今節も大暴れの予感漂う。 そして久留米と抜群の相性なのが伏見俊昭だ。伏見は01年の当地記念優勝、03年にはふるさとダービー久留米で、強力な九州勢を一網打尽にして優勝を飾っている。近況はどうしても番手から抜け出す競走が多いものの、前走の松阪記念決勝では単騎ながら2着など記念競輪での安定は抜群だ。 またその伏見以上に今年一番の安定力を見せるのが鈴木誠だ。当地バンクレコードホルダーでもあり(91年10秒8)、今年は松戸ダービー優勝後も鋭い差し脚と勝負所を見逃さないレース勘は冴えるばかりだ。ダービー決勝でも連係した伏見とも好相性で、初日は連係が可能か? そして南関東もう一人のタイトルホルダー村本大輔も初日から石毛克幸と連係で上位進出を目論む。 強豪はそれだけではない。四国からは佐々木-小倉竜二が参戦。観音寺記念の決勝でも連係したが、結果は佐々木が主導権を奪えずに6、7着。両者のここでの巻き返しも必至だろう。また市田佳寿浩、山田裕仁、前田拓也、山内富生を含めた中近勢も虎視眈々と覇権を狙う。いずれにせよ各地区から選りすぐりの強力なラインが出来そうで、混戦は間違いなし! 4日間の熱いバトルからは目が離せそうにないですよ!