『武雄競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:5月12日

 武雄競輪場で開催されている令和6年能登半島地震復興支援競輪・大阪・関西万博協賛・開設74周年記念「大楠賞争奪戦(GIII)」は、5月12日に2日目を迎えた。勝ち上がりの二次予選では、初日特選組も加わり熱いバトルが雨の中で繰り広げられた。地元勢は山田英明、庸平の兄弟、さらに金ヶ江勇気も白星で二次予選をクリアして、正念場の準決に備えた。シリーズ3日目の5月13日には、ファイナルをかけて準決で激戦が展開される。
 記念シリーズは開催中の毎日、500円車券購入者先着プレゼント、未確定車券抽選会、井上茂徳さん、佐々木昭彦さんらによる予想ステージ、縁日屋台やキッチンカー大集合などが予定されています。武雄競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<6R>

金ヶ江勇気選手
金ヶ江勇気選手
 8番手から一度切って出た伊藤颯馬に早めにタイミングが巡ってきて、打鐘手前から素早い反応を見せる。伊藤が高橋和也を最終ホーム過ぎに叩いて、金ヶ江勇気(写真)の追走。九州勢を目標に反撃に出た佐々木悠葵だったが、1センターで坂口晃輔のけん制もあり失速して、久田裕也は落車。逃げる伊藤の掛かりも良く、佐々木悠は高橋の横の3番手で小休止。中のコースを坂口が踏み込むが、地元の金ヶ江が番手から追い込んだ。
 「(伊藤)颯馬が強いですね。マジかって感じでした。出切ってからは(伊藤は)ペースで踏んでいた。佐々木(悠)さんが(最終)2コーナーで見えたけど、次に確認したら後ろに付いていた。内だけは締めてと思ってました。しっかりと周りが見えていた。(ラインでのワンツーは)本当にサイコーですね。思ったより余裕もあるんで、(調子は)悪くないんじゃないかと」
 金ヶ江との2車のラインも敢然と仕掛けた伊藤颯馬が先行策で2着。納得の顔で汗をぬぐう。
 「長い距離もいけたし(ワンツーで)良かったです。前が駆ける前に行くつもりでした。ただ、1回動いてからだったんで、ペースが上がって叩いた時にはキツかった。悪くないですね。(前々回で体調を崩して)練習もやればいいってもんじゃないのもわかりました。休む時はしっかりと休んでですね。あとは粘り脚だと思います」


<7R>

佐藤友和選手
佐藤友和選手
 橋本瑠偉に押さえられた根田空史は、4番手の内で岩谷拓磨と併走。しかしながら、内が空くと赤板2コーナーから根田が踏み込んで主導権を握る。打鐘3コーナーで根田ライン3車が出切り、橋本は4番手に収まる。北津留翼を連れた岩谷は後方に置かれる。先行態勢の根田はあおりをつくりながら、徐々にペースを上げていく。最終ホーム過ぎに岩谷が仕掛けるも、根田の掛かりがいい。4番手で車間の空いた橋本もなかなか詰まらず、自力に転じた北津留は2センター付近で失速。番手で願ってもない流れになった佐藤友和(写真)が、勝機をモノにした。
 「根田君に任せていました。なかなかしないレースをしてくれたので焦りましたけど、最高の展開をつくってくれました。(根田を)抜けるかはわからなかったですけど、抜けるならワンツーを決めたいなって思っていました。連日、他地区の選手が頑張ってくれているので助けられていますね。(自分の状態としては)初日より今日の方が軽かったですね」
 瞬時の判断で内を踏んで主導権を握った根田空史は、強力な布陣の福岡コンビを後方にして別線を翻ろう。ラインでの上位独占をメイクして逃げ残った。
 「(周回中は)理想は中団からでしたけど、前受けからの組み立ても想定していたので慌てずに。いつもなら引くんですけど、引いてしまったら相手も相手なのでキツいかなって。橋本君がずっと内を空けていたので、とっさに行きました。(先頭に立ってからは)波をつくりながら(相手が仕掛けてくる)タイミングを殺しながら、なるべく距離を短くできるように。昨日(初日)より長かった分、キツかったですけど、平(日本選手権)と比べたらバンクが軽い。体はだいぶパリッとしてきて、アップの時から感じが良かった」


<8R>

松本秀之介選手
松本秀之介選手
 朝倉智仁が押さえ出て、3番手が内から松本秀之介(写真)、志田龍星、野口裕史の3車で重なる。再度踏み込んだ野口が、打鐘過ぎに主導権を握る。が、迷うことなく志田が仕掛けて、最終ホーム過ぎに野口を叩き切る。鷲田佳史はさばかれ、3番手以下の車間が空く。そこを松本がまくりで襲い掛かる。南関勢を乗り越えた松本は、直線半ばで逃げる志田をとらえた。
 「(山口に)スタートを取ってもらっていい場所になれた。志田さんがアンコになっていたんでどうなるかと思ったけど、野口さんが切ったあと(志田が)すかさず行ってくれた。それで展開が向いてくれました。ちょっと反応が遅れて、朝倉(智仁)さんに踏まれていたら危なかった。野口さんの(前の)ところが空いてたんで、ピッタリ詰められる前になんとか越えられた。ダービー(日本選手権)に比べてしっかりと反応ができている。サドルをいじって、昨日(初日)よりまた乗りやすくなりました」
 松本マークの山口貴弘は、最終ホームでは最後方。松本のスピードに対応して、稲川翔との2着争いを制して流れ込んだ。
 「スタートは滑ってヤバかったけど、イナショウ(稲川)も滑ってたみたいで助かりました。(松本は)流れで行ってくれたんで付けやすかった。あとは内がガチャガチャしてたんで、そこが飛んできた時だけですね。(メンバー的には)キツい二次予選だったけど、(勝ち上がれて)良かったです。昨日(初日)も軽かったし、脚は大丈夫です」


<9R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 橋本智昭が主導権を握る。3番手が島川将貴と川口聖二の取り合いで打鐘を通過。橋本がそのままペースを上げて逃げる。3番手の決着はつかず、後方で脚をためた立部楓真は最終ホームから反撃に出る。立部を合わせるように川口が外併走からまくって、あっさりと逃げる橋本をとらえる。付けた浅井康太(写真)は、余裕をもって川口を交わした。
 「(川口)聖二が落ち着いて、島川君を見ながら走ってくれましたね。(あまり器用ではない)島川君のさばきも考えながらの外併走だったと思う。橋本さんの動きを見ながら力を出し切ってくれてワンツーだった。立部君が車体故障してしまったんですけど、自分としては突っ込まれた感じというか、聖二がまくっていく時にあおりを受けてお互いにフワッてなった感覚のところだった。もっていったっていう感覚ではなかったですね。道中も余裕はありましたし、聖二が不発なら自分でその上を行こうと思っていました」
 島川との併走で決してスムーズに運ぶことができたわけではなかった川口聖二だが、まくりで仕留めて浅井とワンツー。
 「島川君が先切りしての橋本さんだった。橋本さんは要所、要所で踏むタイプですし、うまくやられました。ジャンで島川君が遅れていたので入ろうとして入れなかった。立部君にカマされたらどうしようっていうのはあったんですけど、ツケマイしながら自分もカマしていけるようにはしていました。危なっかしいレースで、浅井さんには迷惑を掛けました」


<10R>

山田庸平選手
山田庸平選手
 中西大は後方の九州勢を警戒しながら、赤板2コーナーで先頭に立つ。3番手に坂本貴史、5番手が桐山敬太郎で、嘉永泰斗は打鐘で踏み上げる。外に張った桐山のけん制を受けた嘉永は、なかなかスピードに乗らない。桐山が再三のブロック。山田庸平(写真)は、冷静に8番手で最終ホームを通過する。逃げる中西の後ろで岡崎智哉は大きく車間を取り、桐山が前に踏み込むが大槻寛徳の横まで。詰める勢いで岡崎が出るが、バック過ぎに山田もまくり上げる。直線を迎えて再加速した山田が、前団をとらえて初日特選から連勝。
 「(嘉永が仕掛けて)自分も車間が空いて、タイミングが悪いのかなっていうのがありました。桐山さんのけん制もあったので、(嘉永)泰斗のスピードを見ながらでした。泰斗も出が悪くて、自分で仕掛けないとって行きました。雨が降っているんで走りづらいから、昨日(初日)の方が感覚が良かった。(前回の日本選手権は)体調も悪くて、練習ができてなかった。(今回も)一戦、一戦ですね。昨日も今日も気が抜けないレースだったし、明日もそうなると思うので」
 逃げる中西の番手で後続との間合いを計った岡崎智哉は、詰める勢いで前に踏み込んだ。
 「(中西)大がセオリー通り、力勝負しますっていう感じだった。普段からすごいいいレースをしているので、信頼して付いていった。ジャンのところのスピードもマジかっていう感じだった。(中西の競走得点は)プラス10点くらいはありますね。自分は極力、(番手から)出ていかないでと思っていました。(最終)3コーナーまで待ったんですけど、(あれ以上待つと)食われると思った。それで申し訳ないけど踏ませてもらった。なんか踏めている感触はあります」


<11R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 前受けの深谷知広(写真)は、赤板過ぎから磯島成介、酒井拳蔵、上野雅彦の3つのラインを送り出して下げる。5番手の上野がインを進出して先頭に立ち、深谷に仕掛けるタイミングが訪れる。2コーナーで踏み込んだ深谷は、最終ホーム手前で主導権を奪取。今度は4番手で上野と磯島が重なるが、深谷の先行に動くことができない。別線に出番はなく、深谷が番手の神山拓弥を振り切って逃げ切り勝ち。
 「ラインで決まったのが、なによりです。誘導を切らせて中団から切ってくれればって思っていたんですけど、そういう雰囲気じゃなかった。引き切ればペースが上がると思った。(上野が)内に行った瞬間に先行と決めました。(雨走路であったが)全然、大丈夫です。神山さんは確認できたんですけど、ゴールするまで宿口(潤平)さんはわからなかった。ゴールして3人で決まったのでうれしかったです。しっかりと回せていましたし、先行して逃げ切れているので」
 神山拓弥は、深谷に1車身差のままゴール。2着をこう振り返る。
 「(深谷を)抜ければ、特別競輪を獲れるんじゃないかなって思っていたんですけど強かったです。(打鐘付近で)前でやり合っていたので、形としては(展開が)向いたのかなって。踏み出しが課題なんですけど、そこが良くなってきている。踏み出しや登りで口が空いてしまってさばかれてしまうこともあるんですけど、今日(2日目)は付いていけた。(深谷の掛かりは)すごかったです。やっぱり怪物ですね」


<12R>

山田英明選手
山田英明選手
 押さえて出た伊東翔貴が、南関勢を受けて3番手。赤板2コーナー過ぎに先頭に立った齋木翔多が駆ける。単騎の山口泰生は5番手。6番手でタイミングを取った清水裕友は、打鐘4コーナー手前からスパート。3番手で車間を空けていた伊東が、詰めながら踏み込んで最終周回へ。1センター付近では合わされたかに思われた清水だったが、もう一度踏み上げて別線をまとめてのみ込む。ソツなく続いて直線勝負の山田英明(写真)が差し切った。
 「清水君のトルクがすごいんで、そこを感じながらでした。コーナーでスピードが合ってたけど、清水君の脚力を考えると不安なく付いていきました。差せたのには自分もビックリです。弟(庸平)に(10レースで)あんなに強いレースを目の前で見せられたんで、自分も勝ち上がりたいなって。後輩の山口(貴弘)も(8レースで)すごいレースをしていた。自分の感じとしては、もうちょっと欲しいなっていうのがあります。足りないところを、どうやったらかみ合うか探していこうと」
 最終3コーナーで阿部力也にからまれたライン3番手の山口敦也は圏外へ。清水裕友は、地元で二次予選敗退になった山口敦を気づかいながら振り返る。
 「(仕掛けてからは)自分のスピードの乗りが悪くて、山口(敦)君に迷惑を掛けた。もうちょっとスパンっていければ良かった。前半は前とスピードが合ってしまったし、伊東さんが(車間を)空けていた分、キツかった。後半は良かったんですけど、出切るので脚を使ってた。ヒデさん(山田)とワンツーを決められたのは良かったけど、山口(敦)君まで決められれば良かった。今日(2日目)はレースで重く感じたけど、それなりに戦えると思います」