『別府競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:12月1日
 12月2日から別府競輪場で開設67周年記念「別府八湯ゆけむりカップ」が開催される。グランプリ出場を控える浅井康太の欠場はあったが、村上義弘、中川誠一郎に岩津裕介と3名のS班が参戦。そろった強豪を大塚健一郎、小野俊之に小岩大介の地元トリオが迎え撃つ。前検日は新しく建て替えられた検車スペースで、108名の選手が車体、身体検査を無事に終了。4日間の熱戦に注目だ。
 初日はテレビCMでも話題の「別府競輪の女達」によるトークショー(3R発売中)やヨーヨーパフォーマーMr.タコスのパフォーマンス(4R、9R発売中)など様々なイベントが予定されています。「別府八湯ゆけむりカップ」をぜひ本場でお楽しみください。

<1R>

 前回の平塚FI273着から2週間以上空いてゆとりのローテーションの竹内翼は、オープニングレースには慣れたもの。主導権が濃厚なメンバー構成にも、油断することなく慎重な姿勢を貫く。
 「前回の平塚から空いていたんで、しっかり練習ができた。(先行の)順番が来たら、そこをしっかり仕掛けられるように。調子もいいんで力を出し切れればっていうのはある。自信を持って来られるように、今回はしっかりやってきた。(オープニングの1番車は)記念でもう3回目ですから。期待に応えられるようにですね。しっかり逃げて勝てるように」
 近況、コンスタントに連対を重ねている田中雅史は、松山桂輔とのタッグで一次予選突破を目論む。
 「なにも変わりはない。めちゃくちゃいいわけでもないし、悪いわけでもない。練習もできているんで、それほど崩れることもない。(松山とは)連係が決まっている時もあるんで、悪いイメージはないから信頼している」

<2R>

佐伯辰哉選手
佐伯辰哉選手
 佐伯辰哉(写真)は前回の平塚記念から1カ月ぶりの実戦。レースが待ち切れない様子でこう言う。
 「やっぱり走っていて楽しいんで、レースはいいですね。(11月はあっ旋が止まって)練習しかなかったんで、いろいろやれたんでよかった。楽しみだし、すべて(初日に)ぶつけます」
 ベテラン川口満宏も、佐伯同様に長期欠場明け。およそ50日ぶりの実戦にも気負うことはない。
 「(5月)松阪の落車で鎖骨を骨折して、それで入ってた針金を抜いてきました。そのあとはちゃんと(練習は)やっていたし、調子はいいです。(針金が)入っている時は痛かったんで、抜いていいと思います」

<3R>

 10月の地元、千葉記念のあとにフレームを換えた田中晴基は、その後の弥彦FIを171着、松山FIを319着と上々の手応えをつかんでいる。
 「弥彦から8年前の昔のフレームに換えた。千葉記念のあとに違反訓練があって、そこで新車に乗ったんですけど。新車が硬すぎたんで、昔のを乗ってみた。そしたら感じがいいですね。いい自転車だと思います。まずは絶対に後手を踏まないようにですけど。この自転車なら先行もしたいなって。すぐに体が動くかわからないけど、先行もできる感じがこのフレームならあります」
 九州結束で古閑良介は、野口大誠、稲吉悠大の3番手から上位進出を狙う。
 「(前回の)川崎の最終日は疲れもあったけど、初日、2日目は悪くなかった。(8月の)骨折後は思ったより順調にきている。練習方法を変えたのが良かったのか、フレームを新しくしたのが良かったのか、車の出が思ったよりいいんで、それなりの手応えはある」


<4R>

 津村洸次郎は9月福井から5場所連続で初日を突破するなど調子上向き。九州地区のここも期待がかかる。
 「調子もよくなっているし、レース内容もよくなっている。今回もそれを崩さないようにですね。逃げた感じもいいので、初日も(レースの)ツボどころを逃さないように。別府は久しぶりすぎてよくわからない。前検日に乗って、初日走ってみてですね」
 谷口明正も負けず劣らずの安定感。細切れのここなら大いにチャンスはありそうだ。
 「動けてるのは動けてる。悪くないですね。(8月川崎GIIIで)落車して戻ってないのもあったけど、少しずつ戻ってきて上手いこと動けてる。レースで(走りながら)戻さないとと思ってたので。細切れでチャンスがあると思うし、島野(浩司)さんとも相性がいい。2人で決められるようにですね」


<5R>

小岩大介選手
小岩大介選手
 3名が参戦する地元勢のトップバッターは小岩大介(写真)だ。寬仁親王牌のあとは45日の欠場があったが、復帰した11月川崎では363着。状態の不安はなさそうだ。
 「新車が届いたので前回から使った。感じ? 練習用のほうがいい気がしてる。それでもこっち(新車)で来たけど。ハンドルを軽合にしたせいかなと思うけど、こっちのほうがいいと言われたので。今回は優勝を目指して頑張るだけ。久米君とは前回の準決勝でも一緒でした」
 地元の小岩に任された久米康平は10月向日町で決勝2着に入るなど近況良好だ。
 「誰がついてもやることは変わらない。ラインで決まるようにですね。競走が続いてるので、直前はケアを多めにしてきた。今回は前に使ってたフレームに換える。こっちのほうがアタリがついてるかな。冬仕様って感じですかね」
 調子が上がってきたかに見えた吉川誠は前回の京王閣で489着と振るわなかった。
 「リミッターが外せるようになって、前々回の平の最終日に1周半逃げたから、それで出し切ってましたね。連戦というのもあって、前回は疲れちゃってた。ここまではのんびりしながらやってきました。今月はここと平塚(グランプリシリーズ)なんで、その2場所を頑張ろうと思ってます」


<6R>

小野俊之選手
小野俊之選手
 小野俊之(写真)は11月当所、久留米と連続優出。地元記念に向けて急激に調子を上げてきた。
 「ようやくですね。(3場所前の10月)福井のときにパーキンスとかドミトリエフにどんなトレーニングをしてるのか聞いて、それを踏まえて自分なりに取り組んだりとかした。S級に戻ってすぐは自転車を換えたり、セッティングを変えたりしたけど、今は普通に走れてる。今回は空いたんで、さらによくなるようにやってきた。自分のなかではまだまだなところもあるけど、前回の別府よりは上げてきた。やるだけですね。やることはやってきたんで、自信持って勝ちにいくだけです」
 坂本健太郎は今期早くも15勝を挙げるなど、白星を量産している。
 「1着は多いけど、ツボどころで勝ち切れてないですね。今回も何とも言えない。前回(川崎ナイター)から何もできなかったんで。ナイターで後泊した次の日に東京でジムに行ったら筋肉痛がすごくて、昨日の朝まで自転車に乗れなかった。今も痛みはあるけど、まだ動けてます」


<7R>

 ここは機動型がそろって面白いレースになりそう。筒井裕哉はここ3場所優出こそ逃しているが、9走で6連対と調子はよさそうだ。
 「調子はいいこともないんですけどね。スタイルも車の進みも求めてるところと違う。でも、結果は成績をまとめてるので贅沢言ってもダメなんでしょうね。向日町記念のあとに腰の手術をしてよくなったと思ったら、最近元どおりになった。でも痛いわりには腰が入ってるし、痛いのに車は進むんですよね」
 小原唯志もここ5場所で5勝。今年前半のスランプから完全に脱出した。
 「脚はいいですね。あとはレースをちゃんとできれば。(レースでしっかり仕掛ける)そういう気持ちで積極的に走れてる。別府は去年の記念に呼んでもらったけど落車した。でも、その前のFIで決勝に乗ってるし、いいイメージはありますね」
 日野博幸は補充出走した11月防府記念で特別優秀にまで上がるなど、ここへ来て気配はいい。
 「防府のときは疲れがあったのに感じがよかったので、その後はそのとおりに調整して松山の前もしっかり入ったんですけどね。前回(和歌山FI)は体調を崩してダメでした。でも、またよくなったし、今回は大丈夫。風も大丈夫だし、僕は重いバンクのほうがいいです」


<8R>

 鈴木竜士は2年連続の別府記念参戦。昨年大会では準決勝に勝ち上がり、昨年10月にはFI戦でも優出と別府との相性はいい。
 「前回(松戸FI)は腰を痛めてしまい、あまりよくなかった。今回はしっかりケアして、痛みはなくなりました。その分、練習は2日しかできてないけど。別府記念は去年も出させてもらったし、悪いイメージはないです」
 伊代野貴照はすっかり追い込みのイメージが定着。競走得点も着実に上げてきている。
 「S級に上がってからはこっち(追い込み)な感じで。A級のときから番手を回ることも多かったし、自力も封印してやってきたんで。今は勉強しながら。勝負しながら、反省の繰り返しです。点数は上がってきたけど、まだ満足するとこではないし、積み重ねて頑張ってくしかない。状態は悪くないと思います」
 小川祐司は前回、豊橋で決勝に進出するなど侮れない存在だ。
 「練習方法を見つめ直して、それからですね。全プロの権利は取ったんで、次の支部プロ(来年5月)までにFI優勝するって目標を立てた。それまでは我慢するつもりだったけど、3週間ちょっとでいい形に持って行けた。豊橋は最終日に弱気になって、そこがもったいなかった。前回も重馬場だったし、今回も(強風などで)荒れてくれればいいですね」


<9R>

飯野祐太選手
飯野祐太選手
 直前の競輪祭にも出場している飯野祐太(写真)だが、まさかの予選スタート。一昨年の当所記念でも予選スタートで初日に失格しているだけに、今回はそのリベンジを狙う。
 「調子が悪いとかそういうのはない。悪くて予選ならともかく、点数がないだけなんで悲観することはないです。調子は変わらず。予選は久しぶりだけど、行けるところから仕掛けたい」
 武藤龍生は飯野の番手を回れるメンバー構成に驚きを隠さなかった。
 「自分もビックリです。関東で(片折)亮太さんと一緒かなと思ってました。こんな強い人が予選とも思ってなかったし。もちろん番手は初めてです。前回、落車したけど、気持ち的には走りたいので来た。こないだ鈴木(竜士)の特集を見て、『上位は怪我をしててもあれだけ走ってる』って言ってたのを見て、自分も頑張んなきゃって思った。それに練習した感じも大丈夫でしたしね」


<10R>

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 ここは竹内雄作の先行一車といっていいメンバー構成。競輪祭は2連対こそしたが、初日に勝ち上がりを逃しているだけに、チャンスのあるメンバーでしっかりと持ち味を発揮したい。
 「とりあえず自力で頑張ります。(競輪祭は)あれが現時点での力なのかなと思う。そこから日もないので、そう変わることはないと思うんですけどね。終わってからは少し練習して、ケアをしてというところです。別府は全プロ以来。あまりイメージはないけど、それがいいほうに出れば」
 佐藤慎太郎(写真)は競輪祭で2434着。二次予選で勝ち上がりには失敗したが、動きは軽快だった。
 「追加は入りたかったし、予定どおり。(配分が)詰まってでも走って、ダービーの特選を狙わないと。競輪祭は仕上がりがよかったけど、二次予選は判断ミス。3コーナーで外に切り替えていくべきでした。でも脚自体は仕上がってたし、今回も変わらず来れてます」
 木暮安由は競輪祭で決勝に進出。中4日なら状態も変わらず来ているはずだ。
 「競輪祭は感触よく踏めてましたね。デキはよかった。決勝に関しては新田(祐大)のスピードがよかったとしか言えない。あっぱれでしたね。追加を受けてからは練習量を落として軽く(自転車に)またいだぐらい。初日は天田(裕輝)君に全て任せます」


<11R>

大塚健一郎選手
大塚健一郎選手
 大塚健一郎(写真)は地元記念を前に競輪祭で落車してしまった。そこから間隔はわずかに6日しかなく、状態が気がかりだ。
 「(落車も)全てが実力だろうから。落ちたときは無理かなと思ったけど、まずここに来れたことに感謝して。直前は1日、姫島の若大将(小岩大介)と合わせてきた。やるしかないです。前回の失敗もあるし、最近は(九州の開催でファンに)迷惑をかけっぱなしなんで。やるしかないですね」
 8年連続11回目のグランプリ出場はかなわなかった村上義弘だが、そのスタイルは不変。前回の競輪祭で今年のGIはすべて終わったが、全力投球に変わりはない。
 「グランプリは乗れなかったですけど、(グランプリの)チャンピオンユニフォームを着たからって、脚力が変わるわけではない。(チャンピオンユニフォームを)脱いで脚力が落ちるわけでもない。なにも変わらない。ただ、ユニフォームに課せられた責任がなくなる。着てることで、いろいろ(ローテーションとか)動かされた部分はあったと思う」
 山中秀将は競輪祭でビッグ初優出を決めた。ここも中村浩士とタッグを組んで、人気になりそうだ。
 「競輪祭はやれるなと思った部分と差を感じた部分があった。決勝で勝ち切るとなると、新田(祐大)さん、平原(康多)さんや深谷(知広)君とか、ああいうそうそうたる自力がいるなかで戦っていかないとダメだし、脚力を根本から高めていかないとダメだと思いました。決勝には乗れて、ひとつステップアップはできていいところもあったかなとは思いますけどね。(競輪祭から)変わらずの状態ですね」


<12R>

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 中川誠一郎(写真)にとっては9年ぶりの別府記念。今年序盤は苦しんだが、後半にきて調子も上向き。S班として最後の1カ月をしっかりと走り切る。
 「前回(競輪祭)は行ってすぐ体調を崩してしまった。だから中4日は体調を戻して、体重を戻してって感じでしたね。もう体はいいと思うし、(自転車には)普通に乗るには乗れました」
 山田英明は晴れ晴れとした表情で検車場に現れた。
 「油断はできないけど、(今年後半戦はダメだったが)気持ちは切り替わったと思う。競輪祭の二次予選が終わった時点で、もう来年と思ってるので。競輪祭のあとは1日だけ軽くで、あとは普通どおりやった。疲れはあるかもしれないけど、尻上がりに上がってくれれば。あとは走ってみてですね」
 競輪祭は振るわなかった古性優作はここからまた仕切り直し。
 「疲れは大丈夫です。競輪祭は結果も内容も…。もっと長い距離を踏めないといけないなと感じました。しっかり力を付けていきたい。今回はトレーニングで新しい刺激を入れてやってきた。体の張りとかがいつもと違うし、効果とかも続けていかないとわからないですけどね」