『第61回日本選手権競輪(GI)レポート』 4日目編
配信日:3月21日
第61回日本選手権競輪「駿府ダービー」は大会四日目を終了した。メインのゴールデンレーサー賞を始め、勝ち上がりシビアな二次予選も行われ、激闘が繰り広げられた。準決勝進出の27名も決まり、勝ち上がった選手は準決勝突破に向け、万全の作戦を練り上げている。
場内イベント会場も連日大いに賑わっており、明日(3月22日)も沢山のイベントが用意されております。まずは、輪投げ、ストラックアウト、キックターゲットなど、楽しい場内イベントや縁日コーナーが大会5日目まで行われています。また日本競輪学校94回生によるエキジビションレースの選手紹介が4レース終了後に行われ、エキジビションレースは6レース終了後に行われます。特設ステージでは『大道芸』が3,5,7,9レース終了後に催されます。是非、本場でナマの迫力をご堪能下さい。
ゴールデンレーサー賞 レース経過
号砲で伏見俊昭と渡邉晴智の二人が勢い良く飛び出すが、最内の伏見が有利に前を取った。
隊列は佐藤友和―山崎芳仁―伏見俊昭―佐藤慎太郎が前受けし、平原康多―渡邉晴智が中団となり、小嶋敬二―山田裕仁―濱口高彰は後攻め。
周回が進み、青板周回の3コーナーから小嶋が上昇を開始し、赤板ホームで前の佐藤友を押さえるが、この上を小嶋ラインに切り替えた平原が、ジャンで押さえる。先頭に立った平原がペースを落として後方を警戒する中、佐藤友が2センターから巻き返しに出る。平原も合わせて踏み込み一気にペースが上がった。すると小嶋が立ち遅れたため、空いた中団に佐藤友が入る展開になる。佐藤友は前団に追い付くと休むことなくそのままの勢いでまくっていき、3コーナーを過ぎて平原を抜き去った。渡邉が番手を退かしにかかるが、山崎はこれを堪えて直線で抜け出しゴールデンレーサー賞を制した。続いた伏見が2着に入り、まくった佐藤友は3着。
ゴール
表彰式
<5R>
三ッ石康洋選手
5レースの特一般では前受けの
三ッ石康洋(写真)
が遅めに押さえてきた中川誠一郎を突っ張って主導権を奪う。最終バック過ぎまでのモガキ合いを制すると、まんまと逃げ切ってしまった。
「早めに押さえてくれば引いてカマシ、遅めなら突っ張る事も考えてました。ギヤが掛かってるけど踏み切れた感じですね。風はあったけど、小松島の風に比べれば全然問題ない(笑)」
最終バック手前で離れかけた
室井竜二
だったが、ゴール前では三ッ石とワンツーを決めてホッとする。
「作戦は考えずに三ッ石君の好きなように走ってもらった。一瞬離れかけたけど、最後は決まって良かったよ」
3着ゴールながら
加藤圭一
は言葉少な…。高木隆弘から切り替えた事で申し訳無さそうに検車場を後にした。
「切り替えるのが早かったかな…。でもあれ以上はね…」
<6R>
望月永悟選手
続く6レースは濱田浩司と澤田義和がモガキ合う展開になり、
石毛克幸
には絶好のまくり展開。しかしまくり切ったものの、末脚を欠いた。
「休むところなく踏みっぱなしだったし、キツかったですよ。でも落車したわりには、それほど違和感なく踏めたと思う」
石毛を差し切った
望月永悟(写真)
は嬉しい地元初白星。チャンスをつかみ切った事には満足そうも、石毛の着順を気にする。
「もう少し残せましたかね…。でもあの展開じゃ取らないといかんと思って余裕なく踏んでしまった」
2着強襲の
佐々木龍也
は切り替え、切り替えに脚を使ったが連にからめて嬉しそう。
「僕は後がないから(苦笑)。切り替えに脚使ったし苦しかったけど、必死に踏み続けましたよ。これで少しは点数が上がるかな(笑)」
<7R>
加倉正義選手
7レースからは一格上がって選抜戦。栗田雅也と新田祐大の先行争いとなると、後方七番手から
加倉正義(写真)
が豪快にまくりあげて快勝。神開将暢、堤洋と連独占を果たし、加倉自身シリーズ2勝目を挙げた。
「仕掛けるタイミングで一番良かったのはホームでしたね。だけどあそこからだと距離も長いからきつい。それに坂本(勉)さんや武井の動きもあるだろうと思ったから、少し様子を見てしまった」
2着の
神開将暢
は「長い距離をもがいたから、追走がきつかった。武井が中団に入ったのが見えて、一瞬ヤバイと思ったけど、しのげましたね。さすが先輩、強いですね」と加倉を称える。
3着の
堤洋
は「前の二人がギアを上げていたし、付いていくのがきつかったですよ」と淡々と話す。
壮絶なもがき合いを演じた栗田と新田はともに着外に沈んだ。
栗田雅也
が「新田は引いてカマすと思った。まさか突っ張るとはね」と話すと
新田祐大
は「あそこは行くしかないでしょう。引くことは考えていなかった」とそれぞれ競走を振り返る。
<8R>
石橋慎太郎選手
8レースは ホームから先行態勢に入った石橋慎太郎が主導権をにぎると、直線で石橋マークの
中村浩士
が抜け出した。
「石橋が強かったですよ。彼はダッシュは良いけど、タレるイメージがあった。でも今日はそんな事は全く無かったです。僕自身、後ろも良く見えていたし、冷静でした」
2着には、南関コンビの後ろをうまく守り切った
三宅伸
が流れ込む。
「最終バック過ぎに2番(中村淳)が内にきて当たってくると思ってとっさに外に差した。それに俺もスピードに乗って流れていたし、それほどキツくは無かったですね」
逃げ粘った
石橋慎太郎(写真)
が3着に。激しく息を切らせるあたりに先行の苦しさが出ている。
「普段あまりやらない押さえ先行だったし、昨日ほど風が流れていないなかで、良く3着に残れましたね。最終バック辺りからきつくて、最後は自分のことで一杯でした」
<9R>
山口幸二選手
藤原憲征選手
9レースからは準決勝進出を賭けた狭き門、二次予選。打鐘で紫原政文を叩いた飯野祐太が先行態勢に入るも、村上義弘が渾身のカマシで飯野を叩き切り主導権を取り切った。好追した
山口幸二(写真)
がゴール前抜け出し快勝。笑顔というよりは村上の男気に感激した表情でレースを振り返る。
「村上が仕掛けた瞬間、胸にグッと来るものがありましたね。村上自身、調子が最高というわけでもないのに、あんなに早く仕掛けてくれたのは嬉しいの一言です。僕も落車、失格が続いていて最悪の流れだったけど、静岡に来て吉田(敏洋)、そして村上の頑張りのおかげでガラリと流れを変えることができました。準決勝は、二人の気持ちに応えられるよう頑張ります」
逃げた
村上義弘
も悔しそうではあるが、自分の仕事を果たした充実感が窺がえる。
「最高の展開やったし、タイミングも完璧だった。残れなかったのは脚力が足りなかっただけ。これが力を出し切った結果です。悔しいですけどね」
2着強襲で準決勝行きを決めた
藤原憲征(写真)
は、最近不振だったG1での戦いに自信を取り戻した。
「(G1で)いつも悪くちゃ面白くないですからね(苦笑)。金子真也さんとマンツーマンで稽古を付けてもらった成果が出たのかな。でもゴール前もう一人に交わされて3着かと思ってあせったよ」
3着ながら準決勝行きが断たれた
池尻浩一
は2センターでの落車にあせったようだ。
「後輪がハネて大バックを踏んでしまった分、伸び切れなかった。あれがなければもしかしたら…」
<10R>
三宅達也選手
坂上樹大選手
続く10レースも死闘が繰り広げられた。打鐘で押さえた三宅達也に菊地圭尚が襲い掛かり、壮絶なモガキ合い再び。菊地が出切ったものの、注目の伊藤正樹のまくりが飛び出した。
「伊藤さんは凄いですね。付いていてスピードにビックリしましたよ。抜けたのは(伊藤が)脚を使っていたからですよ。それにしても、今の伊藤さんは乗れていますね。その勢いに僕が乗れて良かった」
その伊藤に乗ってゴール前差し切った
坂上樹大(写真)
は満面の笑み。しかし、準決で小嶋敬二との同乗を知ると顔色が変わった。
「小嶋さんの番手は初めてですけど、前にも後ろにも迷惑をかけないように精一杯頑張ります」
三宅達也(写真)
はギヤを掛けていただけに、ペースを落とすレースを嫌い踏み込んだようだ。
「ギヤ掛けてる分、一度バック踏んだら厳しいでしょう。だから踏み込むしかなかった。それでも(菊地)圭尚君に出切られて悔しいですね」
人気の地元
新田康仁
は仕方なしの表情。前を任せた菊地も良いレースをしただけに納得か。
「圭尚君は強かったし、出切ってから僕が一息入れる前に伊藤(正樹)さんが来てた。あれだと、圭尚君が出切った瞬間に番手まくりを打たないと間に合わない。それは出来ないでしょう」
<11R>
佐藤友和選手
小嶋敬二選手
最終11レースは全員が準決勝権利のゴールデンレーサー賞。三分戦も、ライン2車の
平原康多
が果敢に主導権を取った。
「初戦の事もあるので、今日は2車でも積極的に行くつもりでした。まして後ろは地元の人ですからね。最終ホームでスパートしたけど、三番手が空いちゃって(佐藤)友和君に楽に入られちゃったんですね…。でも新車の感触もいいし、こういうレースで思い切ったレースをした方が、この後に生きると思う」
三番手に入りながらも休まず仕掛けた
佐藤友和(写真)
。ラインの長さもあり、早めでも踏み込む気持ちが強かった。
「ちょっと重かったですね。2着には残れると思ったんだけどな。車間を詰める勢いで行くまでは良かったんだけど、車をヨコに持ち出した瞬間はキツかった。でも躊躇なく仕掛けられてるんで、僕の状態は悪くないですよ。うーん、でも悔しいな」
佐藤を差し切り連勝の
山崎芳仁
はいつも通り、冷静に振り返る。
「いい感じで仕掛けてくれたし、何も言うことはないですよ(笑)。僕としては友和が平原君を乗り越えた後の、(渡邉)晴智さんのブロックを警戒して、外し気味に構えてたから乗り切れました。オッズを見たら人気がカブっていたので、これは決めなきゃと緊張しました」
山崎後位から外を踏み込んだ
伏見俊昭
も伸びよく2着に食い込んだ。競技との両立で難しい時期ながら、競輪でも魅せた。
「スタートを取るのだけが作戦で、あとは若い二人に任せていました。山崎君が離れるかと一瞬焦りましたけど、余計な心配でしたね。これが今年初めての連対か。嬉しいですね。思ったよりも回復度合はいいし、まだ完璧というわけじゃないけど状態はいいと思う。あとは微調整だけですね。やっぱり競走は楽しいです」
一方の
小嶋敬二(写真)
は後攻めが災いしたようで、結果的に立ち遅れて見せ場を作れずに終わった。
「前か、中団から進めたかったが、誰も入れてくれなかった(苦笑)。平原(康多)君が出たのはちょっと意外で、北を待って飛び付きだと思ったので、内から抜け出そうと思ったら締められて…。あのまま駆けるとは思わなかったよ」
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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