『第67回日本選手権競輪(GI)レポート』 4日目編

配信日:3月21日
 第67回日本選手権競輪は後半戦となる4日目に突入。2次予選の残り2個レースと「ゴールデンレーサー賞」をメーンに熱戦が展開された。「ゴールデンレーサー賞」は深谷知広が快速まくりで後続を千切って圧勝。シリーズ連勝を飾った。明日はガールズケイリンコレクションに、いよいよ佳境の準決勝3番勝負。決勝のシートを巡って熾烈な戦いが繰り広げられる。
 明日5日目もアイドルフェスティバルに日本競輪選手会愛知支部ステージ、プレミアム展望など多彩なイベントでシリーズを盛り上げます。ぜひ、名古屋競輪場でお楽しみください。
内林久徳氏 予想会
内林久徳氏 予想会
地元のゆるキャラが勢揃い
地元のゆるキャラが勢揃い
選手の気迫を感じる場所で
選手の気迫を感じる場所で
ガールズ戦士が集結
ガールズ戦士が集結
バンクの感触を掴む
バンクの感触を掴む
ゴールデンレーサー賞 レース経過
 号砲と同時に金子貴志が飛び出すと、深谷知広を迎え入れて前受けの位置を占める。以下の隊列は武田豊樹―芦澤大輔に、菊地圭尚―成田和也の北コンビ。後方には川村晃司―村上博幸―稲川翔が待機して周回を重ねる。
 青板の4コーナーから川村がゆっくりと上昇を開始すると、合わせて踏み出した武田は深谷に併せ込んで、近畿勢を前に出させる。これで武田は狙い通り4番手に収まり、北コンビは6、7番手に、深谷は8番手まで車を下げて態勢を整える。
 そのまま川村が主導権で最終周回を迎えるが、打鐘過ぎの4コーナーから思い切り良く仕掛けた菊地がハイスピードで川村に襲い掛かる。さらに菊地の動きを追って最終ホームから深谷が一気にスパート。2コーナーで菊地が京都勢を捕らえるが、ぐんぐん加速していった深谷はバック過ぎには菊地をアッサリ飲み込んだ。しかし、深谷追走の金子は2コーナーで口が空き、ほぼ同時に深谷を目掛けてまくり出た武田にも浮かされて圏外へ。
 最後は完全に独走状態となった深谷がスピードを見せつけて1着。武田のまくりは3コーナーで成田のブロックを受けて不発に終わり、まくられながらも懸命に粘った菊地をゴール前交わした成田が2着に入った。


ゴール
ゴール
深谷知広選手
深谷知広選手
<1R>
佐々木則幸選手
佐々木則幸選手
 山田裕仁の最後のレース。一度は出られた猪俣康一だったが、打鐘の4コーナーから再度岩本俊介を叩きに出て強引に主導権を奪取。番手の山田は石丸寛之のまくりを止められず5着に沈み、中四国勢でのワンツー。石丸を交わした佐々木則幸(写真)が、複雑な表情で口を開く。
 「1着はうれしいんですけど…。(山田の引退のレースなので)自分の生涯の1着の中では、一番複雑な感じです。それでもマルさん(石丸)の一番得意な展開だったし、あとは僕が交わすかどうかになった。余裕もあったんで。1着はいい思い出になります」
 絶好の展開が訪れた石丸寛之も、十八番のまくりで山田の最後のレースに花を添えた。
 「力を出し切ったし、山田さんと最後に一緒に走れたのでいいレースだったと思います。これからは僕もこういうメンバーと戦っていかないといけないし、あの展開では僕か(鈴木)謙太郎がまくる流れですからね」

<2R>
原田研太朗選手
原田研太朗選手
 打鐘前に佐藤朋也が斬った上を原田研太朗がスパート。四国勢のペースとなり、番手の渡部哲男が好ガードから鋭く抜け出した。
 「原田君が頑張ってくれたので、いい展開になった。番手から出ていくことも考えたけど、バックからまた伸びていきましたからね。まくりを止められたし、しっかり勝てて良かった。ラインの3人で決まったことがうれしい」
 原田研太朗(写真)はシリーズ3走目にして、ようやく本来の先行力を発揮した。
 「2日間、何もできずに終わっていたので、今日はしっかり力を出し切ろうと思っていました。佐藤さんが斬ってくれたので、駆けやすくなりました。風が強くてきつかったけど、ワンツースリーで決まって良かった。負け戦ですけど、次につながる走りはできました」

<3R>
福田知也選手
福田知也選手
 敢然と風を切った田中孝彦の主導権。1次予選に続き田中孝とのタッグになった福田知也(写真)は、番手で車間を空け守谷陽介を止めると最終4コーナーからは田中誠をけん制しながら早めの追い込み。小嶋敬二の強襲を凌いで、うれしいG1初勝利を挙げた。
 「田中孝彦君は1次予選で落車をしているのに、その1次予選の分もっていう感じで頑張ってくれた。細切れで先行選手が多い中で、先手を取ってくれたおかげです。後ろのラインからまくりが飛んで来てたし、田中孝彦君がタレてきたんで、自分は踏ませてもらった」
 小嶋のまくり追い込みに乗った志智俊夫は、3着まで。
 「バンクは軽いと思うし、後ろに付いてるぶんには、自分も楽ですけど。また、風を切ると違うだろうし、(小嶋は)あとちょっとでしたね」

<4R>
北津留翼選手
北津留翼選手
 鈴木裕と接触した園田匠が、赤板1コーナーの入り口で落車。小岩大介まで乗り上げて、3人いた九州勢は北津留翼(写真)ただひとりに。援軍を失ったが4番手からのまくりで、2着を5車身ちぎった。
 「園田さんと小岩さんが落車してしまっているんで…。自分だけっていうのもあるんで。ひとりになったんでやばいと思いました。それでも(4番手で)いい展開にはなったし、今回では今日が一番踏めていました」
 アクシデントで北津留後位に入った鈴木だったが、まくりに付け切れず最終2センターでは坂上忠克のけん制で力尽きる。鈴木の動きを見極めた石井秀治が追い込み2着で、今シリーズ初連対。
 「鈴木君が(北津留と)車間が空いちゃったんで。自分は冷静に見て、あのコースに入って踏んで行った。今日は力も入ったし、レースも見えていました」

<5R>
小倉竜二選手
小倉竜二選手
 打鐘過ぎに飛び出した小川勇介が快調に逃げてレースを支配。番手の小倉竜二(写真)が展開有利に追い込んだ。
 「小川君が強い風の中で頑張ってくれた。早めからけっこう踏んでくれたんでね。初日に飛んだら普通はお帰りパターンだったけど、そこから最終日までいられて良かった」
 小川勇介は長い距離を力強く踏み切り、ラインを上位独占に導いた。
 「ふがいないレースが続いていたので、今日は先行しようと思っていた。それにしてもすごい風ですね。ラインで決められて良かったです」

<6R>
天田裕輝選手
天田裕輝選手
 打鐘先行の天田裕輝(写真)が別線の反撃を封じて会心の逃げ切り。待望のG1初勝利を飾った。
 「いい展開になりました。まくられないように踏み上げていった感じですね。ここ2場所の成績が悪かったので、G1で勝てて良かった。感触はだいぶ良くなっています」
 3番手からまくった坂本健太郎に乗って友定祐己が2着に突っ込んだ。
 「坂本君がうまいレースをしてくれた。いけるかなって思って見ていた分、内に入るのが遅れましたね。風が強くて感触はよう分からんかった」

<7R>
野田源一選手
野田源一選手
 阿竹智史にフタをされた山田久徳だったが、阿竹を張りながら前に踏んで主導権を奪取。前2走同様にケレン味なく逃げる。巻き返した阿竹は不発。単騎の野田源一(写真)は、隊列が短くなるも9番手。しかし、最後方からのまくりで、豪快に突き抜けた。
 「最終ホームで車間が空いてしまったけど、あの位置でも焦りはなかった。阿竹君が行って(外に)浮いていたけど、気にならなかった。自分のスピードが良かったし、越えられると思いました。調子も悪くないし、踏み出しでグングンと加速していってくれたんでよかった」
 主導権の近畿コンビ3番手から、坂口晃輔が外を踏む。前の三谷に迫るも、交わせず3着まで。
 「ジャン前の1センターで阿竹さんと(山田)久徳が接触していたから大丈夫かなって思ってたけど。久徳はひるまなかったですね。自分も踏んだ感じはよかったけど、三谷さんはヨコに厳しい人なんで、最後は見て見てあのコースに入っていった感じでした」

<8R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 地元の吉田敏洋(写真)を連れて、濱田浩司を叩いた柴崎淳がグングンと加速。柴崎の先行策で願ってもない展開が巡ってきた吉田は、後続の動きを確認して最終4コーナーから追い込み開始。1次予選を敗退も、今シリーズ2勝目を飾り溜飲を下げた。
 「(柴崎)淳が全部やってくれたんで、僕はなにも言うことはない。初日に失敗して周りに気を遣わせて申し訳ないですね。僕も追い込みじゃないし、どういう形であれ1着は取らないとって。お客さんにもすごく声援をいただいていたし、淳があんだけ頑張ってくれてましたからね。最低限、どんなレースであれ、地元なんで最終日まで乗っていないとっていう思いがあったんで、そこはよかった」
 最終ホームで追い上げた菅原晃が、中団をキープ。まくり追い込みで吉田に肉迫しての2着。
 「(柴崎が)発進っていう頭はあったし、そこの4番手をどう取るかっていうことでした。うまくいい位置が取れた。(最終)2コーナーでゆるんだけど、誰かが仕掛けると思ったんで、自分は仕掛けなかった。最後は(1着まで)行けると思ったんですけど…」

<9R>
根田空史選手
根田空史選手
 ここから2次予選。松岡貴久が斬った上を根田空史が打鐘で叩いて主導権奪取。そのまま根田がハイペースで駆けていく。番手の勝瀬卓也が好展開をきっちりものにした。
 「根田君が強かったですね。ホームの風が強かったんですが、バックは流れる感じで踏み直していました。根田君の身体がでかいので、自分は後ろでそんなに風を受けなかった。全て根田君のおかげです」
 根田空史(写真)は強風をものともしないハイパワーで同型のライバルを圧倒した。
 「師匠(中村浩士)が昨日、勝ち上がりを決めていたので気合が入りました。駆けやすい流れになりました。出てからはペースで踏めた。昨日、1日休めたのが大きかったですね。ゴールまでしっかり踏み切れました」

<10R>
井上昌己選手
井上昌己選手
 池田勇人の後位は選手紹介から、長塚智広と宗景祐樹で競り合い。打鐘で踏み込んだ吉本卓仁は、もつれる関東勢を素早く叩いて先行策。3番手に入った池田らを井上昌己との息の合ったタッグで完封。逃げ切りで準決にコマを進めた。
 「ちょっと距離が長いかなっていうのもあったけど。自分のペースで駆けられた。自分は(井上)昌己さんが仕事のできる展開を作りたかった。昌己さんが(準決に)乗ってくれたらっていうくらいの気持ちが、いい方向に出たのかなと思います。(準決は)チャレンジャーじゃなくて、(決勝を)狙っていきたい。状態は一番いいし、自分の力をぶつけるだけです」
 池田のまくりをブロックした井上昌己(写真)は、返す刀で中割りの宗景を阻んで吉本とワンツー。納得の大立ち回りを振り返る。
 「あれで(吉本を)抜いていれば、言うことはなかったけど。なんとかワンツーを決められたんでよかったです。特選のことがあったんで、今日は気合を入れて走りました。準決ももちろん(吉本)卓仁になにも言わず任せます」
 打鐘の2センターで長塚に大きく弾かれた宗景祐樹だったが、再度追い上げて池田後位を奪取。池田のまくりが不発に終わると、直線は吉本と井上の間を割ったが及ばず僅差の3着。
 「もう一回(追い上げて)自分はさすがにいっぱいでした。でも(長塚に競り)勝ったんで」

<11R>
菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
 「ゴールデンレーサー賞」は深谷知広が豪脚を発揮。菊地圭尚が6番手から早めのスパートで逃げた川村晃司を捕らえたが、その上を豪快にまくって圧勝。上がり10秒7の一番時計でシリーズ連勝を飾った。
 「(菊地)圭尚さんが行ってくれたんで、無理にでも行こうと思いました。一走目と同じような展開だったし、力は出し切れたと思います。準決勝もしっかり頑張ります」
 菊地のカマシに乗った成田和也は2着まで。深谷のまくりに対応できなかった。
 「(菊地)圭尚がいいタイミングで仕掛けてくれました。感じは悪くなかったけど、深谷のスピードがちょっと違いすぎました」
 菊地圭尚(写真)は強豪相手に思い切った仕掛けを披露。準決勝へ確かな手応えをつかんだ。
 「相手も相手なんで、いけるところで思い切って仕掛けようと思っていました。川村(晃司)さんは出てから流すと思っていたし、いいタイミングで行けました。出切れたので悪くないですね。準決勝も難しいことを考えずに、いけるタイミングがあれば仕掛けます」
 金子貴志は深谷の強烈な踏み出しに口が空いてしまい、武田豊樹にからまれて万事休す。
 「深谷がすごすぎましたね。加速が全然違いました。少し遅れてしまったし、そこを武田さんに来られてしまった」

<5日目 9R ガールズケイリンコレクション>
加瀬加奈子選手
加瀬加奈子選手
石井寛子選手
石井寛子選手
 5日目の9レースはガールズケイリンコレクション2014 名古屋ステージが争われる。昨年末のガールズグランプリと同じメンバーでの対戦となった。そのグランプリで頂点に立った中村由香里はその後も順調。2度目のガールズケイリンコレクション制覇に挑む。
 「最近はあまりお客さんの期待に応えられていない。ちょっと守りに入ってたと思います。練習はいつも通りやっているので順調です。しっかり前に攻める積極的な気持ちで、最後のひと踏みまで粘り強い走りをしたいと思います」
 加瀬加奈子(写真)は昨年12月四日市の初日から25走連続で連対中と抜群の安定感を誇っている。
 「最近はできるだけバックは取る競走で、決勝は獲れるように、まくりとか様子を見てやっています。(ここの前は)中川とちょっと競輪学校、伊豆で合宿をして。フォームを分析したんですけど。中川はまだ改良の余地ありって感じなんですけど、私は踏みペダルで、力任せにやっているのでなかなか頑固で直りづらいなって。今のところ小細工なしで力勝負できてるかなって感じですね。明日はバックを取るような走りをして、それで差されたら差されたでまた練習します」
 グランプリ3着の雪辱に燃える石井寛子(写真)だが、2月伊東は決勝4着と精彩を欠いた。
 「グランプリの悔しい気持ちを小倉にぶつけていい成績が出せたんですけど、その後の伊東があまり良くなかったんで今回は不安があります。一回自分の中では休ませていただいて、それから淡々と練習してきました。悪かった時期より調子は良いと思います。(今回は)グランプリのときのようなレースにならないように心掛けたいと思います。自分のレースができるように、追い込んで力を出し切れるように頑張りたいと思います」
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