『SSシリーズ風光る2010(GI)レポート』 最終日編
 
配信日:5月5日


 静岡競輪場で開催されている「SSシリーズ風光る2010」(GI)は本日5日で3日間の全日程を終了した。ゴールデンウィークの最終日も1万人を超える大勢のファンが詰めかけ、SSトップスターの競演に酔いしれた。注目の決勝は兄・義弘の後位から、村上博幸が追い込んで優勝。2つ目のG1制覇を果たすとともに、賞金2490万円を上積みし、早くも1億円の大台を超えた。



決勝戦 レース経過
 

 号砲と同時に村上博幸が勢い良く飛び出す。成田和也を前に入れ、山崎芳仁―伏見俊昭―成田で前受け。村上義弘―村上博幸―加藤慎平で中団を形成、武田豊樹―神山雄一郎が後攻めとなり、単騎の海老根恵太が最後方という並びで周回が進んだ。
赤板手前の4コーナーから武田が上昇すると、中団から村上義も合わせて踏み上げる。打鐘前に村上義が誘導員を交わして先頭に立ったが、鐘と同時に仕掛けた武田が村上義を叩いて主導権奪取。後方から巻き返してきた山崎に合わせて武田はホーム手前からスパート。その3番手を村上義と山崎で激しく取り合う展開に。村上義が山崎をどかしてバックから強引にまくって出るが、神山のブロックに遭い、なかなか前に進まない。武田がそのまま逃げ切るかと思われたが、村上博が村上義マークから直線外を強襲。粘る武田をゴール寸前で捕らえて、松戸ダービーに続き、G1連続優勝を飾った。2着に武田が入り、まくった村上義が3着。


ゴール
ゴール
表彰式
胴上げ
表彰式
胴上げ


<4R>
小谷田公則選手
小谷田公則選手
   小谷田公則(写真)が格上の力を出し切り最終日にようやく1着をゲット。
 「あの位置からなら今井さんを先行させないこともできるかなと思ったんですが、やっぱり主導権を取るのがうまいですね。脚を使ってでも先行しようという気持ちが見えました。付いていこうとしたんですが、望月さんにうまく邪魔されてしまったので、一度落ち着いてからもう一度追い上げました。踏んだ瞬間に、内から後藤さんに当たられて危なかったけど、なんとかこらえられました。あの状況の割に車は出たと思います。なんだか今回は微妙な開催になってしまいました。振り返ってみれば、初日に2着に残れなかったのが全てですね」


<5R>
村上直久選手
村上直久選手
   連日大敗の村上直久(写真)だったが、最終日に意地を見せた。いつも通りの押さえ先行でマイペースに持ち込んで別線を完封。直線で鈴木秀明を振り切って1着を手にした。
 「今日は先行型が2人だったし、花村さんに蓋をして警戒しました。すんなりの先行だったし、オーロラビジョンを見ながらペースで駆けられましたね。余裕を持って流しながら駆けてたから、掛かり自体はよく分からなかったですね。2日間、全くダメだったんで、最終日に1着が取れてよかった。今回は自分の力不足を感じましたね。もっと調子を上げて、帰ってまた練習してきます」


<6R>
和田健太郎選手
和田健太郎選手
   和田健太郎(写真)の番手が3車でもつれ、ゴチャ付いたところを単騎の宮内善光が一か八かのカマシを放った。和田は不意を突かれたが、離れながらも懸命に追いかけ、4コーナーで捕らえて1着となった。
 「競りのシミュレーションはできてたんだけど、誘導と車間を空けてたから粘ってくると思ったけど、明田さんの動きまではね。3車併走になってたけど、荒木さんは閉め込んで勝ってくれると思ったんだけど、自分ももう少しうまく走ってればね。難しいね。皆のおかげで1着を取らせてもらいました」
 前受けの明田春喜はイン粘りの策に出て競りに参戦。和田の番手を奪取し、流れ込んで2着に入る。
 「初手で和田君は3番手にいたんで、遅くくるなと思ってた。ジャンを過ぎても全然来ないし、ああなったら粘るしかないですね」


<7R>
小林宏年選手
小林宏年選手
   A級決勝は柴田竜史が後方からカマして巻き返すと、小川祐司も合わせて踏み込み、同期で壮絶なモガキ合いとなった。最後は柴田がバック線を取ってモガキ合いを制すると、番手の小林宏年(写真)が追い込んで地元優勝を飾った。
 「間違いが起こってしまいましたね(笑)。柴田が良いところで行ってくれたおかげ。優勝は6年ぶり、もう忘れるくらい前のことですね。その6年前に優勝したのは熊本だったかな。準決は5着でほとんど(決勝進出の)可能性がなかったけど、(初日予選2着で準決5着の岡崎泰郎と、競走得点で)0.01差で自分が決勝に乗れたこと自体が奇跡だったんだけどね。地元で優勝できてホント嬉しいですよ」
 柴田竜史は決勝は小川に力勝負で挑んだ。末を欠いて3着となったが、力を出し切り満足げ。
 「今日はホームで緩んだら思いっきりいくか、前が踏めばまくりに構えるかどちらかでした。山崎(司)さんが粘ってゴチャ付いたんで、引いてカマシしかないと。思い切って行ったけど、小川さんに結構抵抗されたんでヤバイと思ったけど、何とか出切れましたね。2センターでもう少し上がって、早めに仕掛けていればもう少し楽に出られたかも。優勝はできなかったけど、小川さんに先着できたんでよかった」
 小川祐司は「山崎君が前を取ったんで、粘ってくるかなと思った。柴田君がカマしてきたんで合わせて踏んだけど、閉め込まれて内側を走ったぶん脚にきてしまった。余裕があっただけに悔しいですね」と状況を話す。


<8R>
西谷岳文選手
西谷岳文選手
   西谷岳文(写真)が6番手からまくって快勝した。西谷は2コーナーからスパートすると、中団から出た山崎将幸の上をあっさりと通過し、逃げた山口貴弘も捕らえ、後続を引き離してゴールした。
 「最終日だったし力を出し切るレースがしたかった。昨日と同じ失敗はしないように、それだけ注意してました。1着が取れたんで良かったですね」
 山崎将は伸びを欠いたが、その後位から望月裕一郎が内のコースを鋭く伸びて2着に入った。
 「山崎(将幸)君が前に踏んでくれたけど、内がうまく空いたんで思い切ってコースを突きました。今回は準決で取りこぼして悔しかったし、最終日は1着が取りたかったんですけどね。でも、車券には貢献できたんで」


<9R>

稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
   稲垣裕之(写真)がようやく貫禄の白星を挙げた。「京王閣Sでやられてるんですよ」と言う小島雅章との対戦。鮮やかなまくりで仕留めた。
 「小島さんも僕のことを意識してたし、ずっと見られて仕掛けるタイミングがなかったですね。今シリーズは着はともかく、内容としては不満が残ります。初日も3着だったけど、要所で合わされてしまっているし、出切れていない訳ですからね。疲れが残っている状態ではあったけど、それを言い訳にしたくないし、この中でもっと結果を出していかないとダメですね。最終日にようやく人気に応えられてホッとしてます」
 小島雅章はレース内容に納得の表情を見せる。
 「稲垣君も京王閣のことがあるから、仕掛けにくかったんじゃないかな。先行はさせていないし、自分も出し切る競走はできたと思います」


<10R>
新田康仁選手
新田康仁選手
   F1戦のS級決勝は岩本俊介の引き出しを受けて新田康仁(写真)が番手まくりを敢行。荒井崇博の反撃を抑えて地元優勝を飾った。
 「岩本はあんな(早い)とこで行くとは思わなかったんで、踏み出しで離れてしまった。追い付いてからも岩本は良いスピードで行ってたんで、(番手から)出る予定はなかったんだけど、荒井が凄い勢いできたんで出ました。今回はデキ自体はあまり良くなかったけど、後輩が頑張ってくれたおかげで優勝できました」
 荒井に乗り、小倉竜二が鋭く伸びて2着に入る。
 「荒井は掛かってたね。前が止まって自分も巧くスイッチできたんで、あの展開ならアタマまで行かないとだめだね。その辺が今回は今ひとつだったかな」
 荒井崇博は7着に敗れたものの、昨日に続き早めの巻き返しで見せ場を作った。
 「ホームで緩んだし、(新田に)出られても仕方ないと思って行った。堪えようとニュートラルに入れた瞬間に出られましたね」


<11R>
山田裕仁選手
山田裕仁選手
   入れ替わりの激しいレースとなったが、一旦は突っ張られた小嶋敬二が再度立て直してホームガマシ。最後は山田裕仁(写真)が追い込んで1着を手にした。
 「一回突っ張られてヤバいと思ったんで、自分は下りるところを探してた。小嶋も力を出し切るレースをしたかっただろうし、付いていっただけ。今日は小嶋が強かったよ」
 うまく中団を回った市田佳寿浩が2着に食い込む。
 「SSのレースらしい、スピードレースになったね。内に詰まって8番手になると思ったけどうまく位置が取れたね。山田さんが番手だから出られる恐れがあるんで、バックでを空けて詰める勢いで一気に行きたかったんだけどね。1着を取りたかったんで悔しいね」
 3着の小嶋敬二は「後ろ攻めになったから最悪だと思った。押さえるなら早めと思ってたんでそうしたけど、まさか突っ張られるとは考えてなかったね。今日はキツかったよ」と話す。


<12R>

武田豊樹選手武田豊樹選手
村上義弘選手村上義弘選手

   SSシリーズ決勝は村上博幸の優勝で幕を閉じたが、強豪ひしめくなか武田豊樹(写真)が果敢に先行して2着。内容のあるレースで更に自信を深めた。
 「今日は先行勝負して1着を取る自信はありました。結果的に2着に終わったけど内容は自分の勝ちだったと思う」
 神山雄一郎は武田の強さを再確認した。
 「皆強かったけど、武田が強かったよ。SSを相手に後方から押さえて先行して粘り込む選手は居ないよ。俺は4着だったけど、6番車以上の仕事はできたと思う」
 村上義弘(写真)は優勝した博幸を称える。
 「強かったな。ずっと内に詰まってたけど、博幸は焦って内に差し込んできたり、突っ込んでこなかったし落ち着いてた。最後もしっかりと外を踏んだし、自分の力で獲ったね」
 山崎芳仁は中団外併走から、最後は村上義に飛ばされて万事休す。
 「叩こうと思ってたけど武田さんも踏んでたんで行けなかった。海老根さんは武田さんの3番手に付いていくと思ってたし、遅れてきてバックを踏んでしまった分仕掛けられなかった。海老根さんが付いて行ってれば自分もそれを目掛けて行けたんだけどね。でも、あれで行けなかったんだから力不足です」
   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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