『第34回共同通信社杯(GII)レポート』 3日目編

配信日:9月16日

 舞台は500バンク、高知競輪場。「第34回共同通信社杯(GII)」は、9月16日に3日目を迎えた。激しいバトルが展開された準決は、平原康多、浅井康太、村上義弘の実力者が優出を決めた。また、山崎賢人、太田竜馬と20代の選手が勝ち星を挙げて、ファイナルのキップを手にした。いよいよいシリーズも大詰め、予選からのサバイバルシリーズを勝ち抜いた9選手によって、17日の最終日に決勝の号砲が鳴らされる。
 本場では、17日の最終日も様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。「Sandwich Parlour」のライブ、「長州力&美甘子」の平成維新トーク、ほにやのよさこい演舞、500人に先着プレゼント(土佐銘菓「サムライせんせい」)。女性・お子様に無料ドリンクサービス。なりきり龍馬撮影会、ケイリンVRコーナーなどが予定されています。ぜひ、高知競輪場へ足をお運びください。

スピーチーズライブ
スピーチーズライブ
ジャガー川村ものまねショー
ジャガー川村ものまねショー

<1R>

藤木裕選手
藤木裕選手
 打鐘の4コーナーで主導権を握った中井俊亮は、後続を一本棒にして取鳥雄吾を警戒しながらペースを上げて逃げる。番手の藤木裕(写真)は、間合いを計って最終バック手前からまくりを打つ。積極策の中井の気持ちに応えるべく一心に踏んだ藤木が白星をつかんだ。
 「久々のビッグで、足りないところがありすぎて難しかった。中井君のおかげですけど、正直このクラスで思うように戦えていないですね。ここに参加するまでの調整だったり、開催中の過ごし方だったりが、FIとかの感じで来たらダメだなって。レースだけじゃない疲れがある感じがします」
 4番手にいた杉森輝大が、直線で外を追い込んで2着。
 「状態が良くないですね。重たい…。思うように動けていないです。普通なら突き抜けているんだろうけど、モコモコしちゃっているし、車が出ていかない」

<2R>

岡本総選手
岡本総選手
 打鐘で出た真船圭一郎を石塚輪太郎が押さえて、最終ホーム手前で主導権を握る。追い上げた鈴木庸之と真船が4番手で絡み、石塚がそのままペースを上げて逃げる。4番手を取り切った真船が踏むと、石塚の番手の岡本総(写真)は外に張りながら追い込んで1着。
 「(石塚)輪太郎のおかげですね。(落車続きの)自分の状態もあるんで、(石塚に)離れるかなっていう不安もあった。本調子ではないけど、車は出ている感じがしますね。この1着をいいキッカケにしたい」
 中近ライン3番手の仕事をソツなくこなした笠松信幸が、岡本に流れ込んで愛知ワンツー。
 「(岡本は)あんまり番手(の経験)がないと思うんで、自分は内だけはしっかり締めて入ってこられないようにした。(直線も石塚と岡本の)間を踏む方がいいかなと。感じは悪くないし、余裕はあるんで問題ない」

<3R>

池田勇人選手
池田勇人選手
 後ろ攻めから動いた片折亮太は竹内雄作にフタをして最終ホームから先頭に立つと、7番手に置かれた竹内はまくり不発に。これで番手絶好になった池田勇人(写真)は3、4番手を占めた神奈川コンビに合わせて踏み込んで白星をゲットした。
 「片折君とは相性がいい。今年の大宮記念でも勝たせてもらっている。やはり竹内君ラインを後方へ置かないと厳しい。僕たちだけはなく、ほかのラインもだから思惑が一致したかな」
 前受けから埼玉コンビの後ろに入った小原太樹が、池田を追走する形で2着に。
 「五十嵐(力)さんと誰も出なければスタートを取らされても仕方ないって話はしていた。いい位置が取れましたね。池田さんが車間を空けて合わせる準備をされたので仕掛けるのは難しかった。五十嵐さんと2、3着なら悪くない結果でしょう」

<4R>

近藤隆司選手
近藤隆司選手
 新山響平にフタをした山本伸一が打鐘で前に出るが、そこを2センターから新山が叩いて出る。口が空いた内藤宣彦を山本がさばいたが、新山との車間が空いてしまう。5番手から仕掛けた近藤隆司(写真)はバラバラになった前団をひとりずつとらえながらグングン加速。最後は和田健太郎の猛追も振り切った。
 「たまたますんなり(打鐘で)3番手に入れたし、前も空いていたので詰めて詰めてで行けた。流れが良すぎますね。最後は抜かれたと思ったけど、ビジョン見たら勝っててビックリしました。(3番手の山本)健也さんまで決まったのもうれしいですね。風を切ったらダメな感覚が連日するし、6、7年ぶりに来た高知は重い。でも1着はうれしいですね」
 わずかに交わせなかった和田健太郎だが、千葉でワンツースリーの結果に納得の表情。
 「かなり早い段階でハイペースになって近藤に向いた。落ち着いてたし、(前団の)間が空いてたのも良かったと思う。ワンツースリーで良かった」
 援護を失って山本伸に番手に入られた新山響平は、5着に沈んだ。
 「出てから流せば良かったけど、このままちぎってやろうと思って踏み過ぎた。脚も使ってたんで、最後はタレてく一方でした。でも、ダッシュは良かったので」

<5R>

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 佐藤幸治が打鐘で切ると、その上を渡邉雄太がすかさず叩いて主導権を握る。6番手、外併走から仕掛けた吉田拓矢が合わせて最終1センターから踏み込む佐藤や粘る渡邉を3コーナーで飲み込んだが、佐藤マークから3コーナーで自力に転じた中川誠一郎(写真)が大外を突き抜けた。
 「作戦通りの組み立てでした。バックからも余裕はありました。脚の感じは良くもなく、悪くもなく普通ですね。初日はダメだったけど、仕方ない。これも競輪なので。佐藤君が頑張ってくれました」
 吉田にまくられた渡邉雄太だったが、粘り強く踏んで吉田を差し返した。
 「キツかったですね。でも、流れは2日目からいい気がしている。最後は吉田が外に振ってきたのでキツかったけど。(1着の)中川さんは外国人選手みたい(に力がある人)なので、特に気にしていない。吉田には勝てたので良かったです」

<6R>

岩本俊介選手
岩本俊介選手
 最終ホーム手前で主導権を奪った北日本コンビを受けて、原田研太朗が3番手をキープする。7番手に置かれた岩本俊介(写真)だったが、タイミングを取って1センターから発進。合わせて出る原田を南関3車で乗り越えて、鮮やかにまくった岩本が押し切った。
 「(ラインで)スリーまで決まったのがデカい。(原田と)真っ向勝負と思ってたし、あの位置(7番手)の方が僕の脚質的にも加速しやすい。(前回7月の落車の)怪我の影響は、治ったんでない。残念ながら言い訳にはできないです(笑)。それに新車なんですけど、それもすごくいい」
 「前の日の2日目に離れてるんで、いつもりより踏み出しに気を遣いました」とは、2着の岡村潤。岩本を交わしたかに見えたが、8分の1輪及ばず。
 「岩本のおかげ、付いてるだけだった。ちょっと(踏み出しで)先踏みしちゃって、萩原(孝之)さんは付きづらかったと思う。自分は乗ってる感じは相変わらずいい。ただ、街道中心に練習をやってきたんで、スピード練習を入れればもっといいかなと思う」

<7R>

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 後ろ攻めの南潤をけん制しながら小川真太郎が打鐘で前に出るが、そこを南が強引に叩いて主導権を握る。これで8番手になった山崎芳仁だったが、2コーナーから仕掛けるとひと踏みごとにスピードアップ。稲垣裕之のけん制も乗り越えると、続いた佐藤慎太郎(写真)が鋭くとらえた。
 「このメンバーで勝ててうれしいね。お客さんから、慎太郎、良かったねって声援をもらったけど、俺がここでタイトルを獲ったことは誰も覚えてないね(笑)。正直に言って、このメンバーで俺が勝てるイメージはわいてなかったけど、山崎はしっかり構えてまくったから強かった。アイツのまくりは簡単に差せないから、調子も大丈夫でしょう」
 差されたとはいえ山崎芳仁は、豪快なまくりで健在ぶりを示した。
 「仕掛けかけたときに前で松浦(悠士)君が接触したので1回見てしまったけど、もう一度タイミングを取って2コーナーからいきました」
 まくられた南潤は「僕の組み立てが下手なのか…。流してペースに入れたほうが良かったのか、フカすべきだったのかわからなくて…」と、困惑気味にレースを振り返った。

<8R>

坂口晃輔選手
坂口晃輔選手
 赤板ホームから上昇した柴崎淳は打鐘過ぎの2センターで誘導員を下ろすが、後続の動きはない。松本貴治の仕掛けが遅いと見るや、最終ホームから腹をくくってペースを上げる。松本の巻き返しは坂口晃輔(写真)の外まで。コースをこじ開けて3番手から菅田壱道もゴール前迫ったが、これを張りながら踏み込んだ坂口が好展開を生かした。
 「(自分たちのラインが)動かしても、切られて後ろになるなと思った。すんなり駆ける形になるとは思わなかった。練習みたいな感じで駆けてたし、すぐスピードも立ち上がったし、(柴崎)淳さんが強かった。久々に決まり手がつきました」
 ゴール前で坂口にけん制された菅田壱道は、8分の1輪届かず。
 「どっかでこじ開けようと思ったけど、松本君は外で粘ってたし、(渡部)哲男さんも内に差してたから下手に持っていけなかった。やっといなくなったんで、きれいに踏めたし、展開が向いたところで1着取りたかったけどね。坂口がいいブロックしましたね」
 逃げた柴崎淳は3着に粘った。
 「あと2つ(のライン)が切りに来なかったし、(最終ホーム)あそこじゃ遅い。僕も先行がないわけじゃないんで。来たのも見えたし、うまく松本君を合わせて、(菅田が内に詰まる)この態勢は最高と思った。100回に1回だけど、たまには(先行も)出るんでね」

<9R>

椎木尾拓哉選手
椎木尾拓哉選手
 赤板の1センターから上昇した吉澤純平が打鐘で前に出ると、そこを久米康平が一気にホームで叩いて出る。前受けから下げた三谷竜生はこの動きに俊敏に反応すると、その外を仕掛けてバックで久米を飲み込んでしまう。これで三谷、椎木尾拓哉(写真)のマッチレース。粘る三谷をわずかに椎木尾がとらえた。
 「以前よりは良くなっているが、まだまだですね。2日目はスピードに対応できていなかったが、3日目はまずまず。最後は(池田に)割られてしまったので、内を空けないようにしないといけないですね。三谷君は強かったし、付いていて余裕はなかったですよ」
 久米をねじ伏せた三谷竜生の走りも力強かった。
 「(スタートで)前を取らされるのは嫌だったけど、仕方ないですね。でも、すぐに巻き返すつもりでした。調子は問題ないので、最終日もしっかり頑張ります」
 俊敏に切り替えた池田良がゴール前で中を割ったが3着まで。
 「久米君が頑張ってくれたおかげ。三谷君がすかさず仕掛けてきたので、切り替えていきました。脚的には問題ないですよ」

<10R>

山崎賢人選手
山崎賢人選手
 前受けの山崎賢人(写真)は、赤板で誘導を残したまま下げる。7番手で反撃のタイミングをうかがって打鐘の2センターでは大外に上がるが、前の桐山敬太郎にコースを塞がれて踏み込めない。先に横山尚則が山降ろしで主導権。山崎もすかさず仕掛ける。前団のあおりを乗り越えた山崎が、最終2コーナーで出切り、離れながら山田英明が懸命に追いかける。直線半ばで追いついた山田がそのまま交わしにかかるが、山崎が半車輪凌いで3連勝。無傷で前回のオールスターに続いて、ビッグ優出を決めた。
 「(前を取って)全部、引いてから仕掛けようって思っていました。緩んだら行こうとしたんですけど、コースがなかったんで待ちました。スピードはいい感じですね。これで負けたら(オールスターの優出が)たまたまって言われるちゃうんで、しっかり自力を出して勝ち上がりたかった。九州の先輩とGIIの舞台に上がったんで、また決勝で決まればいいですね」
 「前のおかげ、そのひと言です。僕の追走技術が、まだまだ。甘かった…」とは、山田英明。山崎に離れたものの、持ち前の自力を駆使して2着で山崎とともにファイナルのキップをつかんだ。
 「力がある選手と走る時には、もっとしっかりしなきゃ。それでラインの結束力を上げられるように。前があんだけ頑張ってくれてるのに、自分がちぎれるわけにはいかないっていう気持ちだった。(普段は)自力でやってるんで、(山崎に追いつく)力が残っていた」
 九州コンビを追走した和田圭は、最終3コーナーで古性優作、武田豊樹との併走を凌いで3着に流れ込んだ。
 「僕もダッシュがキツかった。あれで山田さんが(山崎に)ビタっと付けてたら、自分はぶっぱなれてました。自分でチョロチョロやらないで、九州の後ろに付いててよかった。ダメでもここって決めて、結果が出たんで。自転車を今回から新しくして、どうかなって思った。山崎(芳仁)さんと話して、スピード出るから(フレームが)硬くてもいいんじゃないっていうことだったんで大丈夫ですね」

<11R>

平原康多選手
平原康多選手
 打鐘過ぎに先頭に立った平原康多(写真)を京都コンビが押さえる。単騎の佐々木豪が続くが、平原は佐々木をさばいて3番手をキープ。最終ホーム手前から山田久徳が踏み込んで、先行の腹を固める。番手で車間を切った村上義弘が後続を引きつけると、5番手の清水裕友が2センターから追い込んで、平原も踏み込む。直線の伸び比べは、平原に軍配が上がった。
 「最終ホームで佐々木君をどかすのに結構、脚を使った。普段ならもう少し早く仕掛けて木暮(安由)とワンツーを狙うパターンだけど、このバンクはコーナーで踏むと膨らんでしまうんで難しい。オールスターで落車して、ここが2場所目だった。初日にいろいろと修正したりとあったので、不安だらけでした」
 木暮と絡みながらも外を伸びた清水裕友は、2着に入ってビッグ初優出を果たした。
 「(最終)1コーナーくらいで佐々木が外にいたけど、入れちゃうと(自分の権利が)ないと思った。あとはそこから落ち着いて仕掛けられました。まさか自分が(ビッグの決勝に)乗れるとは思ってなかった」
 3番手の平原、5番手の清水にのみ込まれた村上義弘が、山田を称えて振り返る。
 「自在に動ける(山田)久徳なんで、強いのは知っている。信頼して付いていました。最終ホームで先行の腹をくくったのがわかった。あとは後ろでできることしっかりと。(直線は)脚負けです」

<12R>

太田竜馬選手
太田竜馬選手
 赤板ホームから動いて誘導後位に入った簗田一輝は打鐘で切りに来た浅井康太を突っ張って出させない。浅井は早坂秀悟との争いを制して3番手を南関勢後位を確保するが、そこを最終1センター、7番手から太田竜馬(写真)がひとまくり。後続をちぎって、ビッグ初優出を決めた。
 「出ようと思ったけど、早坂さんが内に行ったんで落ち着こうと思った。周りも見えてましたね。ゴチャつくなと思って、落ち着いていけました。あそこで出切っとかないと勝負権がないなと思ったし、出切ってから重かったけどスピードは良かった。あと1日、悔いのないように。もちろん(優勝を)狙わないと」
 太田にまくられた郡司浩平は、離れて来た香川雄介をブロック。2着で決勝進出を果たした。
 「それ(簗田の頑張り)に尽きる。(内から早坂が来たが)そこは必死に守らないといけないところなので。太田君のスピードが違ったし、あれは番手から出て行かないと合わせられない。後ろが空いてるのが見えたし、(香川の)スピードを殺して。簗田を残しにいこうと思ったけど、距離がまだ長いし、後ろに浅井さんもいるので2人で2着、3着は厳しいなと思った。1回待ったけど、あとは自分の判断で2着を取れるように(踏んだ)。最近の成績はラインのおかげもあるし、流れがいい。自分に追い風が来てると思ってる。(前で頑張ってくれた和田)真久留や簗田、後ろに付いてくれた先輩。決勝はその思いも背負って見せ場を作りたい」
 早坂の抵抗を凌いできっちりと3番手を確保した浅井康太が、3着に入って決勝最後の切符を手に入れた。
 「しっかり凌げたかなってところですね。その時の判断もしっかりできたんで。決勝は単騎で。平常心でしっかり自分のレースをしたいと思います」