『第68回高松宮記念杯競輪(GI)』 初日編

配信日:6月15日

 岸和田競輪場を舞台に「第68回高松宮記念杯(GI)」は、6月15日に熱戦の幕が上がった。東西対抗戦が復活した今シリーズは、一次予選から東西に分かれて白熱のバトルが展開された。初日のメーンの白虎賞(西)、青龍賞(東)では、原田研太朗、武田豊樹がそれぞれ白星を挙げて幸先のいいスタートを切った。2日目には東、西の二次予選が、準決進出をかけてそれぞれ3個レース行われる。
 本場では開催中の毎日、オリジナルクオカードや3連単車券が当たるラッキーカードを先着2000人に配布、特設グルメコーナーとして「東西うまいもん対決」、予想会の東西対抗戦などを行います。さらに16日の2日目には、上方落語家、江戸落語家による「高松宮記念杯落語バトル」なども予定されています。岸和田競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

晴天のもと幕を開ける
晴天のもと幕を開ける
敢闘宣言をする南修二選手
敢闘宣言をする南修二選手
武豊 プレミアムトークショー
武豊 プレミアムトークショー
東西対抗予想バトル 岡本新吾、井上薫、吉井秀仁
東西対抗予想バトル 岡本新吾、井上薫、吉井秀仁

<1R>

竹内雄作選手
竹内雄作選手
 前受けを強いられた中部勢。「来るのが遅かったんで」と、竹内雄作(写真)は赤板で松岡貴久を突っ張り、そのまま先行の腹を固める。突っ張られた松岡貴が中団に収まり、今度は7番手の松岡健介が打鐘の3コーナー過ぎから反撃に出る。が、竹内が合わせて別線を完封。二の足で逃げ切った。
 「朝なんでなかなかスイッチが入らなかったけど、レースではスイッチが入ったんでよかった。最近は後ろにも迷惑を掛けていたし、車券でも(ファンに)迷惑を掛けてしまっていたんで、とにかく力を出し切ることだけを考えていた。前からの組み立ては全然考えてなかったけど、結果オーライですね。ホームは重い感じがした。でも、バックではしっかり伸びていってくれた」
 直線で竹内との差を詰めた番手の坂口晃輔だったが、8分の1輪及ばずの2着。
 「単騎の選手もいるんで、切られて後方に置かれる可能性もあったけど。(突っ張ったのは竹内)雄作の男気ですね。雄作に連れていってもらって、最後抜きにいったけど、雄作が強かった」
 まくりごろからに思われた松岡貴だったが、かぶって仕掛けられない。外の濱田浩司を4コーナーで松岡貴が外に弾くと、脚を溜めていた合志正臣が空いたコースを伸びて3着。
 「あそこは(松岡)貴久が下げるのかどうか微妙だったけど、もう貴久に任せていたんで。3番手の(山内)卓也さんは内は絶対に空けないんで、貴久が濱田をどかせばそこを行けるなと。自転車もいい感じに出てくれた」

<2R>

小松崎大地選手
小松崎大地選手
 打鐘の3コーナーで先頭に立った菅田壱道が、福島コンビを受けて2つに分かれた北日本勢が前団を占める。5番手の杉森輝大は動けず、7番手からまくった近藤隆司も不発で、北日本4車の勝負。主導権を握った小松崎大地の番手から成田和也がきっちり勝機をモノにした。
 「すべて小松崎君に任せていた。今日は展開も良かったけど、お互いにそれぞれの脚質を生かせるレースになりましたね。GIですし1着を簡単に取れるとは思っていなかったからうれしいす」
 直線で踏ん張った小松崎大地(写真)が、僅差の2着争いを制して逃げ残った。
 「今日はどの位置になっても積極的にいこうと思ってました。出切ってからは必死でした。でも、後ろが成田さんなので信頼してました。久しぶりに先行して粘れたので。次につながるというか、つなげないといけないと思うのでよかったです」
 菅田が外に持ち出すと、和田圭が福島コンビの間を突くも3着。
 「正直、前回からフレームを換えてどうなるかと思ったけど、意外と伸びてくれましたね。展開も良かったけど余裕もありました」

<3R>

村上博幸選手
村上博幸選手
 柴崎淳にフタをされた稲毛健太だったが、視界が開けると打鐘の2センターから反撃。近藤龍徳のけん制も乗り越えて、逃げる柴崎を最終2コーナーでとらえる。番手の村上博幸(写真)は車間を切って援護すると、ゴール寸前で差し切った。
 「3レースっていうのが、起きてから時間がなくてちょっとフワフワした感じになりました。でも、どんな展開になっても(状態が上がってきて)前ほど不安はないですね。脚もきれいに回せたし、練習の感じが出ています。もっと良くなると思うし、あとは微調整ですね」
 積極的に攻めた稲毛健太が2着。近畿ワンツー決着となった。
 「もうちょっと(柴崎が)早めに動いてくれれば。でも、すぐにいこうと思っていました。出切ってからは決まったなと。ここまで違反訓練に行っていて、中3日でちょっとしか自転車に乗っていないですけど、それなりにいろいろやってきました。周りも見えているし、だいぶ(状態は)いいと思います」
 山田英明は最終2コーナーから仕掛けるも、車の進みはいまひとつ。それでも、懸命に踏み続けて3着に食い込んだ。
 「前回のダービーで決勝に乗っているし、一次予選で飛ぶわけにはいかない。勝ち上がることに集中していました。でも、体の動きが重かったし、バンクもベタっとした感じで。好きな展開になって、あとは仕掛けてみて自転車がどう反応するか。車の出が悪くて、後ろに迷惑をかけてしまいました。諦めずに踏んで勝ち上がれたし、立て直して明日へ」

<4R>

山中秀将選手
山中秀将選手
 青板のバックから早めに動いた山中秀将(写真)は、一度レースを動かして再び7番手も思惑通りの流れ。打鐘の3コーナーで飛び出した早坂秀悟が緩めたところを見逃さず、最終ホームからからスパート。合わせて踏んだ早坂をロングまくりで仕留めて、渡邉晴智とワンツーを決めた。
 「前で展開を待つより、早めに押さえに行けば(仕掛ける)タイミングが来ると思った。思った通りでよかった。ただ、ジャン過ぎの1回目のタイミングのところでちゅうちょした。そこで後ろの人からしたら僕が行くかなと思って、松坂英司さんが離れたのかと。反省しないといけないですね。一瞬、大回りしたんで、行けるかなって不安だったけど。永澤(剛)さんを越えて大丈夫かなって」
 山中の強ダッシュにも危なげなく続いた渡邉晴智が、2着に流れ込んだ。
 「(山中は)踏み出しで行っちゃうと思った。自分は運がある。やっぱり後ろに(松坂)英司っていうのがデカい。気持ちに余裕がある。あれで抜ければよかったけど、抜けなかった」
 中団の横山尚則は、まくった山中、渡邉を最終バック手前から追いかけて3着入線。
 「山中さんの仕掛けが早かったですね。スイッチして追いかけた感じです。(調子は)悪くないし、いい緊張感のなかで走れている。ただ、自分らしい競走を見せられていないのが…」

<5R>

稲川翔選手
稲川翔選手
 赤板で中井俊亮が押さえて出ると、中団は北津留翼と松浦悠士の併走。2コーナーから外の松浦が踏み込むが、それを察知した中井がペース上げて主導権をキープする。再度、中団が併走になって、そこから追い上げた松浦は澤田義和に弾かれ後退。後続との間合いを図った稲川翔(写真)が、追い込んで地元で白星発進の好スタートを切った。
 「緊張しているくらいがちょうどいいですね。しっかりと勝ち上がれたし松浦君の動きも見えてました。澤田さんが仕事をしてくれているのもわかったし、ラインで決められて良かった。モチベーションも段々と上がってきました」
 2周風を切った中井俊亮は、的確なペース配分でラインでの上位独占をメイクしてホッと胸をなで下ろす。
 「とにかくラインで決められるようにと思って走りました。松浦さんは自在に動くタイプですし、(打鐘で)踏み合いになるとは思わなかったので落ち着いて走りました。しっかり踏み切れたし感触もいいと思う」
 松浦の追い上げを凌いだ澤田義和のソツない走りが光った。
 「内も空けられないし、外にも松浦君がいて右も左もって感じで。前の2人が強いから、自分だけはぐれないようにと思ってなんとか付いていきました」

<6R>

渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 初手中団の渡邉雄太が、後ろから動いた根本哲吏に合わせて前に出る。その上を根本が赤板で強引に叩くも、山崎芳仁が連結を外し単騎で逃げる展開に。山崎は中団で池田勇人と併走になるが、打鐘の3コーナーで単独の5番手を確保する。番手にはまった渡邉だったが、最終ホームからスパートしてゴールを目指す。山崎はこの仕掛けに続くと、2センターから外を回す。岡村潤のけん制も凌いで勝利した。
 「(根本を追わなかった)判断は良かったと思う。付いていっても浮くだけだし。その後は池田を一撃でキメていれば、もっと楽だったと思います。最後はいっぱいいっぱいで、届いたのはたまたまです」
 岡村が最終2センターで山崎をけん制すると、南関3番手を回った武井大介は前に踏む。直線を鋭く伸びて2着に入った。
 「(北日本勢に)出られないように踏んでいって。(作戦は)あれしかないと思っていました。(岡村)潤もやったぶん、あそこは内にいくしかないし。潤は前に踏んでも良かったんですけどね。でも、同県の後輩が頑張っていたから気持ちはわかるけど。今日は前の2人のおかげ」
 渡邉雄太(写真)は直線で失速するも、3着に踏み止まった。
 「ホームで出ようと思っていました。(出切ってからは)後ろから来ているのがわからなくて、踏み過ぎましたね。そこは反省です」

<7R>

香川雄介選手
香川雄介選手
 松川高大を叩いた山田久徳がペースを落としたところを、打鐘の4コーナーから踏み込んだ吉田敏洋が襲い掛かる。山田の番手の南修二が最終1センターで吉田を大きくブロックして、吉田、林巨人が落車。近畿コンビを追走していた単騎の香川雄介(写真)は、南が吉田と絡んで外に膨れると山田を追いかけ徐々に車間を詰めて追い込んだ。3連単は49万円の高配当。
 「今日はほぼ近畿(のライン)と思っていた。切り替えるところもないだろうから。(番手が)南だからなんとかすると思ったし、勝負どころで6番手くらいにいられればいいかなと。そしたら(落車があって)自分のペースで行って(山田に)4コーナーくらいで追いついたらいいなと。山田もタレ気味だったんで一拍待ってから踏んだ。今年2勝目だしGIで勝てるとは思ってなかった」
 態勢を立て直した松川高大は、4番手からまくり気味に追い込んで2着に届いた。
 「落車がなかったらまずい展開なんで、そこは反省しないとダメですね。危なかったけど、勝ち上がれたのはデカいです。(4月に)松山で落車してから全然ダメだったけど、そこから徐々に戻ってきた。(GI出場は昨年の)静岡ダービー以来なんで頑張りたい気持ちがあった」
 アクシデントを避けて松川との連結を外した井上昌己は、外を追い込むも最終2センターで南に絡まれて3着まで。
 「(落車で)後味が悪いですね。(南)修二が地元で気合が入りすぎていた感じです。(南に)もう1回来られたのは油断してました。欲を言えば突き抜けたかったけど、ちょっと疲れがあるのか…。疲れを抜きたいですね」

<8R>

和田健太郎選手
和田健太郎選手
 先行態勢を取った長島大介が、新山響平を警戒しながら赤板の2コーナーから徐々にペースを上げる。新山が外から襲い掛かると長島が上がってけん制。その隙を突いた松谷秀幸がインから主導権を奪う。新山の反撃を一発で仕留めた和田健太郎(写真)が、直線で差し脚を伸ばして1着。
 「もう全部、松谷君がやってくれました。ホームのところの判断といい、そのまま新山君を合わせ切っちゃいましたからね。久々の競走だったのでレース前に慌ててバタバタしてしまったから、明日はそれがなくなれば、もっと良くなりそうです」
 南関3番手の江守昇が、ゴール寸前で松谷を交わして2着に入った。
 「これこそ恵まれですよね。もう前の2人が全部やってくれたし、最後も和田君がコースを空けてくれたおかげですね」
 新山を相手に俊敏な動きで先行策に出た松谷秀幸のアグレッシブな走りは、十分に評価できる。
 「長島君が(新山を)出させたら、自分は後方になるからまずいと思って。1車でも前へ前へって感じで、結果的に先行になった感じですね。もう2コーナーでいっぱいだったけど、なんとか後ろのおかげで残れた。でも、あそこ(最終ホーム)の判断とかレースの内容とかはいいと思うので、明日もこのまま頑張りたい」

<9R>

河端朋之選手
河端朋之選手
 後ろ攻めの古性優作が、早めに動いて赤板前にハナに立つ。単騎の荒井崇博、さらに中四国4番手を回った高原仁志も近畿勢にスイッチ。古性は前受けから引いた河端朋之(写真)を警戒しながら駆けると、打鐘の2センターからピッチを上げる。最終ホームを一本棒で通過。何度か仕掛けるそぶりを見せた河端だったが、1センターから反撃を開始。目の覚めるようなスピードで前団に迫ると、椎木尾拓哉のけん制も乗り越えて前団をひとまくりした。
 「古性君が遅かったら、突っ張りも考えていました。(何度か仕掛けようとしたが)イン粘りや飛び付きが気になってしまって。落ち着くというより、迷いがありましたね。その後はしっかり自分のスピードを出せたと思います。でも、ラインで決めることが課題。ホームでもいけなかったし、後ろに迷惑をかけてしまいました。二次予選は、もっと相手も強くなるし、自分の持ち味を出したいです」
 初手から中四国勢に付けた坂本亮馬は、打鐘の4コーナーから三宅達也をすくって河端後位を奪取。河端のまくりに口が空くも、懸命に追いかけて2着を確保した。
 「突っ張ってくれれば一番よかったですね。(河端の)4コーナーの踏み込みで(番手をすくうか)判断しようと思っていました。ちょっと口が空いたけど、トップレベルのスピードと、今の状態を考えれば合格点でしょ。状態にあった走りができました」
 椎木尾拓哉が、古性の番手から追い込んで3着。二次予選進出を決めるも、河端を止められず肩を落とす。
 「(古性)優作は河端さんの仕掛けが遅かったら先行すると言っていました。(河端を止めるのが)自分の仕事なのに申し訳ないです。スピードがちょっと違いました」

<10R>

菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
 合わせて動いた小埜正義を押さえて出た吉澤純平は、冷静に坂本貴史のスピードを見極め北日本勢を受けて4番手を確保。最終2コーナーからまくりを打つと、諸橋愛は遅れ気味。後続のもつれをしり目に、2着を5車身ちぎって前回の取手記念からの連勝を4に伸ばした。
 「(周回中は)後ろになっちゃったけど、体は動いたしいい展開が作れた。それをモノにできたっていう感じです。(坂本の)勢いが良かったんで出させてと思った。それでも車輪を掛けながら、緩めれば内から行こうと思っていた。(2日目は)もっとキツいレースになっていくし、厳しくやっていかないと」
 吉澤のまくりを止め切れなかった菊地圭尚(写真)だが、諸橋をさばいて2着はキープした。
 「(坂本)貴史が掛かってたんで、これで(まくりが)来るようなら後ろ(諸橋)はキツいなっていう感じだった。フレームを戻して感じも良かったし、プラスになっている。ただ、アベタカ(安部貴之)のコースも作ってあげたかったし、貴史も頑張ってたから難しかった」
 6番手の小埜が前の関東勢のまくりへの対応が遅れて、海老根恵太は最終3コーナー過ぎに自ら踏んで3着。
 「(小埜は)練習でもあんまり良くなかったし、(前に)離れちゃっている感じだった。もちろん、最初は信頼して付いていたけど。もう、あそこで踏まないと、自分も(勝ち上がりの権利が)ないんで。外々を回ったけど伸びていた」

<11R>

原田研太朗選手
原田研太朗選手
白虎賞ゴール
白虎賞ゴール
 白虎賞は原田研太朗(写真)が制した。レースは原田が青板の2コーナーから動いて誘導員後位が入れ替わる。続いた三谷竜生は中団に降りるも、前受けから下げた深谷知広の動きを察知して、赤板の1センターから踏み込む。2コーナーで強引に主導権を握った。突っ張り気味に踏んだ原田は岩津裕介のアシストで5番手に迎え入れられると、態勢を立て直して最終2コーナーからアタック。けん制しながら前に踏んだ稲垣裕之を乗り越えて勝利した。
 「(突っ張り気味に踏んだのは)ああせんことには遅れてしまうので。踏んでから考えようと。2車ですし、ラインが少ない中で(岩津と)お互い仕事ができたと思う。最後は下りだったので、なんとか乗り越えられましたね。でも、明日は(優秀ではなくて)二次予選なので気持ちを引き締めて」
 深谷は打鐘の3コーナーで巻き返しを図ろうとするが、岩津に絡まれて仕掛けられない。すると、内に降りた中部3番手の浅井康太が岩津後位にはまる。3コーナーからまくり追い込んで2着に入った。
 「タイミングが合わなくて、内に退避して。切り替えたと言うより、切り替わった。自分が深谷の前を走っているという感じに気持ちも切り替えました。最後まで踏めているし、反応も大丈夫です」
 番手から出た稲垣裕之だったが、直線で伸びを欠いて3着。レース後は反省に終始した。
 「1カ月近くレース間隔は空いていますけど、不安はなかったです。原田君が強かったですけど、自分の反省するところもあるし修正して。走り方とかですね。(三谷)竜生も頑張ってくれたけど。自分の技量不足です」
 近畿勢を追って4番手を確保した園田匠だったが、岩津に3コーナーで絡まれて脚力をロス。直線は内コースに進路をとったが、伸びず6着に終わった。
 「岩津が降りてきて、バックを入れたぶん、伸びなかった。でも、心肺機能も上がらずに付いていけている。思ったより(状態は)悪くなかったし、やれると思う。(新しいフレームの)悪いところもわかったし、明日は良くなると思う」

<12R>

武田豊樹選手
武田豊樹選手
青龍賞ゴール
青龍賞ゴール
 4車のロングラインの吉田拓矢が、赤板過ぎに押さえて出る。後続の隊列を確認しながら一本棒にして先行態勢を取った吉田だが、8番手から新田祐大が打鐘手前で早めに巻き返す。カマした新田が最終ホームで吉田をとらえて主導権を奪取すると、平原康多は自力に転じてまくり一気。逃げる新田を仕留めて、関東での上位独占を演出した。番手から抜かりなく追い込んだ武田豊樹(写真)も、平原の好判断を称える。
 「新田君のカマシが早かったし、いいスピードだった。平原君が後ろのことを考えて判断してくれて、いったん引いて巻き返した。あの判断のおかげですね。(吉田は)ものすごく気合が入っていた。でも、今日はあらためて新田君のスピードを感じました。あそこまでいったら、いい形でゴール線にいきたかった。油断せず、一戦、一戦ですね」
 「どうしようか迷う場面だけど、吉田は踏んでたし迎え入れる感じじゃなかった」とは、平原康多。自力にチェンジして新田との力勝負を制して、武田とのワンツーを決めた。
 「自分の感じとしてはまぁまぁじゃないですか、普通です。(セッティングも)微調整ですよ」
 関東のシンガリを務めた木暮安由が、直線で外を踏んで横一線のゴール勝負に持ち込んだものの3着。
 「(2着まで)行ったかなと思ったんですけど…。まぁ、今日は付いてただけですから」と、二次予選に気持ちを切り替えた。
 新田に付けた渡邉一成は、平原の早めの反撃になす術もなく後続にのみ込まれた。
 「(新田は)いい勢いで行ったけど、平原さんが態勢を立て直すのが早かった。2コーナーで僕の技術があれば1回仕事をしてっていう感じだったけど、技術不足ですね…」
 早めの仕掛けを見せた新田祐大だったが、シンガリに複雑な表情を浮かべる。
 「緩んだんで行ったけど。あれだけすぐに(平原に)行かれてしまうと、自分としては微妙ですね…」